ホラゴケ(その他表記)Vandenboschia radicans (Sw.) Copel.

改訂新版 世界大百科事典 「ホラゴケ」の意味・わかりやすい解説

ホラゴケ
Vandenboschia radicans (Sw.) Copel.

光の乏しい林内の岩上などに生育する常緑性の小シダ。コケシノブ科に属する。ホラゴケは洞苔の意で,湿った岩洞に生ずることから名づけられた。根茎は長くはい,黒褐色の毛を密生する。分枝しながら伸び,もつれ合って広がるので,全体としてマット状になる。葉身は広卵状披針形,2~3回羽状に分裂する。包膜はコップ状で,胞子囊床が長く伸びる。葉面は細胞層1層でできているが,薄暗い林床などでは,光の加減で暗緑色にみえる。日本からヒマラヤに分布するが,この類の分類にはまだわからないことが多い。ハイホラゴケvar.orientalis (Christ) H.Itoは日本から中国,ヒマラヤ,東南アジアに分布し,本州南部以南にはオオハイホラゴケvar.naseana(Christ)H.Itoが分布するが,種の階級でこれを区別することもある。ヒメハイホラゴケV.amabilis(Nakai)Iwatsukiも近縁で,これも同じ種の別変種とされることがある。ホラゴケという名が,これら近縁のハイホラゴケ類を含めた総称として用いられることも多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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