知恵蔵 「リカちゃん」の解説
リカちゃん
少女マンガのような大きな瞳、ほっそりとした手脚、5頭身で胸は小さく、サイズは21cmと子どもの手のひらに収まる華奢(きゃしゃ)な体が特徴。67年当時に売られていたのは、青い眼に金髪でグラマー体型、身長も約30cmある「バービー」などで、それらに比べて日本人らしいルックスをした「リカちゃん」は、発売直後から人気となった。発売から2年後には、それまで優勢だった「バービー」の売り上げを追い抜く。一大ブームとなり、当時、女の子たちは「リカちゃん」の髪の毛を自分の好みにカットしたり、洋服を縫ったりして楽しんだ。「リカちゃん」とともに、その家族や恋人の人形、洋服、ハウス、小物も多数発売。洋服やハウスのデザインには、その時代の理想の生活や流行などが投影されており、「リカちゃん」の仕様も、その時のはやりなどを取り入れて目の大きさや髪形、髪の色などが、時代によって少しずつ異なる。大人にもファンやコレクターが多く、旧型の「リカちゃん」は高額で取引されることもある。また、大人向けに宝石をちりばめたり、趣向を凝らした高額な「リカちゃん」が登場することもある。さまざまなCMや広告キャラクターとしても起用され、メーカーやブランド、公共機関などとのコラボレーションも多い。アニメ化、ゲーム化、マンガ化もされており、「リカちゃんキャッスル」、富士急ハイランド内「リカちゃんタウン」(2009年1月で終了)を代表とする「リカちゃん」のテーマパークの設立、「リカちゃん」と連動したアイドルユニット「Licca(リッカ)」の誕生などメディア展開も幅広い。09年には、「リカちゃん」の生みの親と言われる、元タカラ専務の小島康宏氏による、「リカちゃん」誕生秘話をつづった著書『リカちゃん生まれます』が発売された。また、電話をかけると、電話の向こうで「リカちゃん」がお話をしてくれる「リカちゃん電話」は1968年から2009年現在まで続いている。
(富岡亜紀子 ライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報