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家族 かぞく family

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

家族
かぞく
family

婚姻によって成立した夫婦を中核にしてその近親の血縁者が住居と家計をともにし,人格的結合と感情的融合のもとに生活している小集団。家族は原始的群居の状態から次第に血縁的秩序の分化を経て今日の小家族へと段階的変化をとげてきた。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

か‐ぞく【家族】

夫婦とその血縁関係者を中心に構成され、共同生活の単位となる集団。近代家族では、夫婦とその未婚の子からなる核家族が一般的形態。
民法旧規定において、戸主以外の家の構成員。
[補説] 
2014年6月に実施した「あなたの言葉を辞書に載せよう。2014」キャンペーンでの「家族」への投稿から選ばれた優秀作品。

◆無償の愛をくれる大切な存在。
大根さんの作品

◆時々面倒で、近くに居すぎて大切さに気付きにくいもの。
aiaiさんの作品

◆私が私でいられる存在。
pinkcatさんの作品

◆大人になるにつれ、その尊さを理解できる存在。
柱くだるさんの作品

◆愛し合っていた妻と、愛しているのに無視する娘と、両想いの犬。
うたまるさんの作品

◆喧嘩をしてもご飯が用意されていたり、叱られても決して見捨てることをしない者のこと。どんなことがあっても自分の味方でいてくれる存在のこと。
ふうちゃんさんの作品

◆迷った時も、寄り道した時も、嵐にあった時も、長い旅に出た時も、どんなときでも、いつも最後に迎え入れてくれる港。
papankoさんの作品

◆生まれて初めて出逢う最小単位の社会。その単位は必ずしも血縁者や人類に因らず、共に生きる、住む、心を通じ合わせる生物も含む場合がある。
ゆうこさんの作品

◆いちばん「ありがとう」を伝えるべきなのに、いちばん「ありがとう」って言いにくい人たち。
Ike Hiroさんの作品

◆家族とは「綿たっぷりの掛布団」である。重たいけどあったかい。決して羽毛布団ではない。
ゴンタ選手さんの作品

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
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百科事典マイペディアの解説

家族【かぞく】

近親者によって構成される,人間の最小の居住集団。その基本としては,マードックが提唱した夫と妻(それに未婚の子)よりなる核家族という考え方が広く受け入れられている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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デジタル大辞泉プラスの解説

家族

1942年公開の日本映画。監督:渋谷実、脚本:斎藤良輔、野田高梧、撮影:生方敏夫。出演:河村黎吉佐分利信三宅邦子田中絹代、三浦光子ほか。

家族

1970年公開の日本映画。監督・原作・脚本:山田洋次、脚本:宮崎晃。出演:倍賞千恵子井川比佐志、木下剛志、瀬尾千亜紀、笠智衆、前田吟ほか。第44回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第25回毎日映画コンクール日本映画大賞、脚本賞、女優主演賞(倍賞千恵子)、男優主演賞(井川比佐志)、男優助演賞(笠智衆)受賞。

出典|小学館
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世界大百科事典 第2版の解説

かぞく【家族】


【動物における家族】
 家族familyという言葉は,動物生態学や行動学などでも一般に広く用いられているが,多くは厳密な定義に基づくものではなく,生物学的家族biological familyとして人間家族とは区別することが望ましい。鳥類のつがいとその雛たちをまとめて家族と呼び,テナガザルのように雌雄各1頭とその子どもからなる集団を家族と呼んだりする。また,シカなどに見られる母と子の集りを母家族mother family,タマシギなど父が子の世話をする習性をもつ種に見られる集りを父家族father familyと呼ぶ場合もある。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

かぞく【家族】

夫婦とその血縁関係にある者を中心として構成される集団。
民法旧規定において,戸主の統率下にある家の構成員。 → いえ

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

家族
かぞく
family英語
Familieドイツ語
familleフランス語

夫婦・親子を中心とする近親者によって構成され、成員相互の感情的絆(きずな)に基づいて日常生活を共同に営む小集団。一般に人々はその生涯に2種類の家族とかかわる。一つは自分が子供として生まれ育った家族、すなわち定位家族family of orientationであり、他の一つは自分が結婚して新しくつくる家族、すなわち生殖家族family of procreationである。家族に類似する日常用語に家(いえ)、世帯、家庭などがある。家は、イエの創設、家系、分家などのことばに示されるように、「系譜」に基づいて理念的に考えられた抽象的なイメージであり、現実の具体的な集団としての家族とは異なる。次に世帯は、住居を単位としてつくられた概念であり、国勢調査などの統計調査で用いられている。世帯員はだいたいにおいて同一家族とみなしてよいが、世帯員のなかには同居人、使用人などの他人が含まれる場合もあるし、一方、就学・就職などのために他出している家族成員は別の世帯に含まれるので、かならずしも現実の家族と一致しない場合がある。次に家庭は、生活の場を表すことばであるが、家族を意味する用語として日常的に用いられている。[増田光吉・野々山久也]

社会学からみた家族


歴史および研究史
家族についての学問的な研究は、19世紀のなかばごろになっておもに二つの分野において盛んとなった。一つは家族や婚姻の歴史についてであり、他の一つは現代家族についての実証的な研究である。まず家族や婚姻の歴史であるが、当時ようやく整えられてきた民族誌や文学などによる古代や未開社会の知見に基づいて、たとえば大家族から小家族へ、あるいは原始乱婚に始まる多様な婚姻形式から一夫一婦の単婚へと変化したとする社会進化論(社会ダーウィン主義)的見解が優越していた。ことにその先駆的役割をつとめたのはバッハオーフェンの『母権論』(1861)、メーンの『古代法』(1861)、マクレナンJ. F. MacLennanの『原始婚姻論』(1865)、L・H・モルガンの『古代社会』(1877)などである。モルガンの所説はのちにエンゲルスの唯物論的家族史観の展開に影響を与えた。その後における家族の実証的研究、とりわけ未開社会についての科学的な知見が増えるにつれて、どの社会においても家族が一定の段階を経過して進化するとみる社会進化論的見解が批判されることになった。
 ところで、同じ19世紀のなかばごろ、現代家族に関する実証的研究が始められた。たとえばフランスのル・プレーによる労働者家族の家計調査(『ヨーロッパの労働者』1855)がそれである。この研究関心や研究態度はアメリカの社会学者によって受け止められ、1920年以降、シカゴ学派とよばれる人々の、家族解体や黒人家族の研究、さらに1930年代には結婚の予測に関する研究が現れた。家族について多彩な研究が展開されるようになったのは第二次世界大戦以後である。アメリカに多くの家族社会学者が現れ、優れた研究を通じて日本およびヨーロッパの学界に大きな影響を与えた。
 日本では戦前の家族研究の重点が家族構成と家族制度の研究に置かれたのに対して、戦後に目だってきた動向は、
(1)家族の動態的研究が盛んになったこと
(2)問題家族の研究が、とくに都市家族を対象として行われ始めたこと
(3)勢力構造、役割構造など家族の内部構造の研究が盛んになったこと
(4)性別分業など夫婦関係に関するジェンダー論の研究が盛んになったこと
などである。このような戦後の研究の先駆となった戦前の業績のなかに戸田貞三(とだていぞう)の『家族構成』(1937)がある。今日では国際交流の発展や文化人類学の知見の増加に対応して国際的な比較研究も盛んになってきた。加えて、ジェンダー論的視点から家族の内部構造への批判的洞察が深まるとともに、21世紀に入って、新しく家族ライフスタイルという視点からの分析も進展してきている。[増田光吉・野々山久也]
形態
家族は基本的には夫婦と未婚の子供とがその構成の中核となっている。そのような核だけからなる家族を「核家族」といい、それ以外の直系もしくは傍系の血縁者を含む家族を「拡大家族」という。これらはアメリカの人類学者マードックの用語nuclear familyとextended familyの訳語である。なお家族形態を世帯の構成人員によって表す方法は古くから一般に行われ、たとえば大家族から小家族へというような形態上の変動の法則が唱えられたこともあったが、今日ではかならずしも一般的な法則とは認められていない。
 日本の家族の場合、明治以前の1世帯当りの平均人員は4~5人が普通で、明治期になってむしろやや増大している傾向がみられる。しかし今日までの動向を全体として眺めるとき、1世帯当りの平均人員は明らかに減少してきた。1920年(大正9)の第1回国勢調査以来、1955年(昭和30)までは1世帯平均ほぼ5人の規模であったが、出生率の低下と核家族化の進展に伴い、1960年以降は急激に縮小の傾向を示している。ところで国勢調査などの統計調査によって核家族数や核家族率を算出する場合、どのような世帯類型を核家族として算入するかなどによって数値が大きく変わってくる。単独世帯を加えて計算することもあるが、他方において「夫婦2人世帯」「夫婦と未婚の子からなる世帯」「父子または母子世帯」の合計とみる考え方もある。しかし高齢単独世帯、夫婦2人世帯、父子または母子世帯などは本来、核家族とは異質なものであることから、核家族化の指標に加えず、むしろ核家族化よりも家族形態の多様化としてとらえる見方が重要になってきている。核家族化という家族の画一化の動向に対して多様化を重視する視点は、理想の家族形態の存在を想定することなく、さまざまな家族のありようを客観的に肯定的にとらえる視点を提供する。[増田光吉・野々山久也]
内部構造
小集団としての家族(家族構造)は、外部から目につきやすい部分(外部構造)と、どちらかといえば見えにくい部分(内部構造)に分けて考えることができる。外部構造とは、たとえば4人家族(量的構造)、祖父母の同居する直系家族(質的構造)などをさす。これに対して、たとえば日々の家族の暮らしのなかで、だれがリーダーシップをとり(勢力構造)、だれがどの役割を分担し(役割構造)、家族成員相互がどのような感情を抱いているか(情緒構造)、さらにまた、だれとだれの間にどのようなコミュニケーションが交わされているか(コミュニケーション構造)などが内部構造の例としてあげられよう。これらは家族集団の内側に形成されている集団維持のための仕組みであり、この仕組みに支えられて、生活体としての家族は成員の欲求を充足させながら自らをも維持してゆく。要するに家族の内部構造の分析は、現実の家族生活をその内部にある勢力関係、役割関係、情緒関係、コミュニケーション関係などの視点に分けて考えるのであるが、実際には、これらの諸関係は複雑に入り組んでいて切り離せないのが普通である。たとえば勢力関係において優位を占める家族成員は、他の家族成員と比較して相対的に恵まれた役割を割り当てられる可能性が多く、さらに、集団内において発言の頻度が高いなどの特徴が指摘され、情緒的にも安定しやすいことが推察される。
 ところで、まず勢力構造についてみると、勢力とは「集団の方針の決定にあたって成員のそれぞれが分担している貢献、すなわち現実の力」であり、権威とは「家族成員のだれかがある勢力をもつことを正当なこととして自他ともに認め合っている関係、すなわち期待されている力」をさす。「勢力」がどちらかといえば個人の力量に依拠しているのに対して、「権威」は社会規範に依存しているといえる。かつての「家」制度の下に認められた、強大な夫(父)の権威は、本人の力量のいかんにかかわらず、家長という規範的な地位に支えられていた。さらに夫婦の勢力関係についてはいくつかの類型が設定されており、どの国にどの類型が多いかという角度から国際比較調査も行われてきた。夫優位型、妻優位型、夫婦協力型、夫婦自律型の4類型がその一例である。この類型によれば、西欧の家族には夫婦協力型が多く、日本では夫婦自律型が多いことで知られてきたが、現代では自律型から徐々に協力型へと変化しつつあることがわかっている。
 次に役割構造についてであるが、一般に、ある小集団がその成員にとって望ましい形で維持されていくためには、二つの要件、すなわち、集団それ自体が外部社会のなかで存在意義をもち、かつ外部社会にうまく適応していくこと、および、集団内部において成員のそれぞれに満足を与え、集団全体としての結束を保っていくことが重要である。この目的の実現のためには、それぞれの役割を分担する2人のリーダーを必要とする。パーソンズとベールズR. F. Bales(1916―2004)は、現代アメリカの都市家族、すなわち夫婦家族が小集団と共通する性格を備えていることに着目し、二つの役割をそれぞれ手段的リーダー、表出的リーダーと名づけ、それらが夫(父)と妻(母)に対応する役割と考えた(『家族――社会化および相互行為過程』1956)。一般に役割構造の分析においては、相手にどのような役割行動を期待しているか(役割期待)、現実にどの程度、期待された行動が実現されているか(役割実現)、自分の主観的な判断として、どの程度に相手の期待に沿っていると自認しているか(役割自認)の三つのレベルに分けて考えるのが普通である。家族の成員は、それぞれ相互に相手に対してなんらかの行動の実現を期待しており、それらが期待どおりに実現すれば満足し、実現しなければ期待外れの不満を覚える。これまでの研究によれば、たとえば離婚を決意した夫婦は一般の夫婦に比べて相手に対する期待外れの度合いがきわめて大きい。
 ところで、夫婦の役割関係は家事分担にも表れている。日本では従来、「男は外回り女は内回り」という性別役割の観念に支配されていたが、今日ではジェンダー論的視点から大幅に見直されるようになり、対等な夫婦が家族内での相互作用過程を通して、それぞれが期待する役割期待を調整しながら、多様な家族ライフスタイルを展開させるようになってきている。[増田光吉・野々山久也]
機能
家族によるその集団内部の成員や外部の社会に対する働きを家族機能とよぶ。家族機能については欧米でも早くから着目され、日本でもさまざまな見解が示されてきた。よく知られているのはオグバーン、バージェスとロック、マードック、パーソンズなどの所説である。マードックは性的、経済的、生殖的、教育的の4機能を唱えたが、オグバーンは家族機能を主機能と副機能に分類し、主機能には性的および扶養機能を配分し、副機能には経済、教育、宗教、娯楽、保護、地位付与の諸機能を割り当てた。主機能とはどの社会の家族にも共通する機能であり、副機能とは社会によって異なる可能性をもつ機能をいう。さらにパーソンズは核家族の基本機能として子供の基本的な社会化と大人の家族成員のパーソナリティーの安定化をあげている。
 日本では戸田貞三が家族機能について体系的な見解を述べた最初の人である。戸田は家族の機能として内的安定作用、家族財産の保護、経済生活の保障、対外的な連帯共同の四つをあげた。のちに戸田はこの所説を修正して内的安定作用と扶養および保護作用の二つの機能に限った。そのほか姫岡勤(ひめおかつとむ)(1907―1970)は、本来的機能と派生的・二次的機能に分け、前者に性的統制、増殖、子供の扶養、社会化の諸機能が含まれるとし、また後者には経済的生産、保護、教育、宗教、娯楽、社会的地位付与の諸機能が割り当てられた。さらに大橋薫(かおる)(1922― )は、これまでの知見を総合して、家族機能を固有機能、基礎機能、副次機能の三つに大別し、これらをそれぞれ対内的機能(個人的機能)と対外的機能(社会的機能)の二つに分けて、その組合せのなかにいくつかの機能を措定した。固有機能は、対内的機能として性・愛情の機能と生殖・養育の機能を含んでいるが、対外的機能としてはこれらにそれぞれ性的統制と種族保存の機能が対応するとみている。さらに基礎機能は、対内的機能としては生産と消費の機能であるが、対外的機能としてはそれぞれ労働力提供と生活保障が対応する。副次機能は、対内的機能としては、教育、保護、休息、娯楽、宗教などが含まれる。また対外的機能としては、教育には文化伝達の機能が、その他の機能には社会の安定化の機能が対応するとみている。
 ところで、家族解体が論議される場合、かならず問題となるのは家族機能の減少論および機能遂行の困難論である。昔の家族は数多くの機能を果たしていたが、近代化・都市化に伴って、家族の機能の多くが家族外の機能集団に委譲され、家族機能は大幅に減少したとみるのが前者である。たとえば家族機能の一つである教育は、今日では家族外の機関である学校に大きく依存している。一方、今日の家族の典型である核家族は、大人の成員の数が少ないために、昔の家族に比べて機能遂行に限界があり、容易に機能障害に陥る弱点をもつというのが後者である。
 以上が家族機能減少論、および家族機能障害論の大要であるが、減少論に対しては、むしろ反対に、今日の家族は昔とは比べものにならないほど多くの機能をもつとする見方もある。たとえば教育機能は学校に委譲されたとはいえ、進学の準備、学校の選択、進路の決定などは大きく家族の手にゆだねられている。さらに平均寿命の伸長により、多くの家族が高齢者介護の機能を遂行するようになってきている。これらは昔の家族にはなかった機能とはいえないが、核家族時代の今日では大多数の家族が抱える機能になってきている。その意味では増加したともいえる。つまり、今日では生活の全体が複雑多岐となり、家族はその機能の多くを外部の機能集団に委譲する反面、新しい機能の遂行を要請されているとみるのである。その分、家族機能障害論においては、小さな核家族が多くの重要な機能を分担することになり、また老後の一人暮らしも多く、今日の家族を取り巻く状況は、ますます深刻になりつつあるともいえる。[増田光吉・野々山久也]
家族周期
一つの家族についてその形成から消滅までを発達の視点からとらえるとき、多くの家族に共通するいくつかの発達段階、すなわちライフ・ステージを指摘することができる。発達段階の設定はこれまでに多くの研究者によってなされてきているが、初期の例としてはソローキンの4段階区分、すなわち、新婚の時期、子供を育てる時期、成人した子と暮らす時期、子供が婚出したあとの老夫婦の時期という段階区分がある。以上は一つの家族についてその発達段階を措定したものであるが、家族の生活史を世代的につないでみると、親の時代の家族の歩み、子の時代の家族の歩みというぐあいに、ほぼ同じ動きを繰り返すことがわかる。これを家族周期(家族のライフ・サイクル)とよぶ。
 先に述べた発達段階の区分は、今日ではさらに細分化されてきたが、その代表的なものにヒルReuben L. Hill(1912―1985)の9段階説がある。それらは、子供のない新婚期、第1子が3歳までの時期、第1子が3歳から6歳までの前学齢期、第1子が6歳から12歳までの学童期、第1子が13歳から19歳までの時期、第1子が20歳から家を出ていくまでの時期、末子が家を出ていくまでの時期、夫が退職するまでの時期、夫の退職後から死亡までの時期の9段階である。
 一つの段階から次の段階へ移るということは、新しい家族関係への移行、新しい家族目標の遂行を意味しており、家族成員の役割構造の変化を必要とする。第1子の誕生とともに夫と妻はそれぞれ父と母という役割を新たに取得する。それぞれの段階にはその段階における遂行を期待されている発達課題がある。発達課題とは特定の段階に特徴的な遂行の課題であり、この課題遂行の成功は、その段階の家族生活を豊かにするとともに、次の段階への移行を容易にする。新しい段階への移行は、したがってかならずしも容易とはいえず、危機的移行ともよばれている。
 家族周期による特定の家族の分析は、家族の生活史を明らかにするだけでなく、他の要件との関連を考察するのに役だつ。たとえば住居であるが、家族の発達段階に呼応して望ましい部屋数や間取りも変わる。家計費についても同様である。次に家族の世代的変化を家族周期から眺めると、たとえば直系家族も、ある時期には核家族の類型を示すことが知られている。以上のように家族周期は家族研究の有力な手段であるが、すべての家族が同じ段階を経過するとは限らないこと、離婚・再婚の家族への適用の問題などの困難が残されている。これらを背景として1980年代になってライフコースという概念が生まれてきた。家族周期が家族の集団性に力点を置き、その変化に注目するのに比べて、ライフコースの概念は個人の人生に立脚し、家族成員としての諸個人のそれぞれの人生が、相互依存的に織り成す家族生活の歩みを、具体的な歴史との対応のなかでとらえようとする研究法である。ライフコース分析では、段階の概念とは異なって、個人がその人生のなかで経験する家族生活とかかわりの深いイベント、たとえば結婚、就職、出産などを人生のくぎりとして重視する。ライフコース分析は、離婚の増加、働く妻の増加などによる家族生活、あるいは家族生活周期の変化に対応するとともに、1980年代後半に盛んになってきた家族史にとって有益な研究法である。[増田光吉・野々山久也]
戦後日本の家族
第二次世界大戦後の日本の家族は、核家族、直系家族、単独世帯がその主要な部分となっている。第二次世界大戦前では長男がその妻子とともに親と同居して扶養・介護にあたるという直系家族が、家の観念や「家」制度に支えられて理想の姿と思われていたが、第二次世界大戦後になって家の観念が希薄化し、「家」制度を支えた法的規制がなくなるとともに、夫婦本位の核家族の観念が優勢となり、法の統制もまた核家族をモデルとするものに変わった。その後、都市化・産業化の進展とともに核家族は増加し、代表的な類型となっていった。しかしその後、高齢化が進むなかで3世代同居の直系家族も一定の割合を占めていたので、核家族との競合的並存という点に特色が認められた。とはいえ、高度経済成長以降、農村部においても世帯分離は活発化し、3世代同居の直系家族の割合が急速に減少し始めたことも事実である。
 なお今日の直系家族は、もはや以前のように家イデオロギーに支えられたものでなく、その意味において任意的直系家族あるいは合意的3世代家族とよぶこともできる。老親との同居の慣行をもたない欧米の家族では、日本のような、それなりに相当な割合の直系家族は存在しない。核家族率の増加に伴い、世帯人員は減少し、5人、6人といった多人数世帯はかなり減少し、2人の世帯が増加しつつある。老親との別居あるいは分居、少産による子供数の減少、就学・就職などによる他出家族成員の増加、離婚などによる単身世帯の増加などが世帯規模の縮小に寄与しているとみられる。
 配偶者の選択の面で日本の現代家族にみられる特徴は、従来高い割合を占めていた見合い結婚が1965年(昭和40)ごろから恋愛結婚を下回ることになった事実である。見合い結婚は、若い男女の自由な交際になんらかの形で制限を加える社会にみられる配偶者選択の一形態であり、日本の場合では「家」制度と儒教倫理の制約のもとに行われてきた慣行である。それがしだいに廃れて欧米なみの、デートを伴う恋愛結婚に移行してきている。と同時に、今日では容易に恋愛結婚に結び付かない場合には、新たに結婚相談サービス機関のサポートを活用する見合い結婚も登場してきている。
 配偶者選択の変化に対応するのが夫婦本位の核家族の増加である。しかし欧米の家族のように完全な形の夫婦本位というわけでなく、根本的には伝統的な日本家族の特質をあわせもっているのが注目される。たとえば日本の家族の中核をなすのは夫婦よりもむしろ親子である。夫婦相互の呼び名も子供中心につくりあげられており、子供の教育をはじめ、家族のなかに占める子供の意義は大きい。また、変容してきたとはいえ、伝統的な性別役割分業はいまだ支配的であり、「男は外回り女は内回り」という観念はなかなか根強い。その結果、家事・育児は妻の責任とみる傾向が強く、この点で欧米の家族と大きく異なっている。しかしキャリアを追求する女性たちも増えてきており、共働きの家族も徐々に増え、保育サービスの拡充などへの期待は、ますます強くなってきている。
 ところで、西欧の家族と比較するとき、日本の家族でとくに注目されるのは老親との同居による3世代家族である。形態のうえでは伝統的な直系家族に類似しているが、今日の3世代家族の多くはもはや「家」制度的・直系家族的なイデオロギーに支配されることなく、世代間に適当な距離を置きながら、それぞれの生活の自立性を保ち、そのうえでの相互扶助と家族としての愛情を追求する生活共同体である。したがって、たとえば嫁と姑(しゅうとめ)との不和に代表されるような往年の同居世帯とは質的に異なっており、その意味で「修正直系家族」あるいは「任意的直系家族」とよばれることもある。[増田光吉・野々山久也]
アメリカの家族
白人の中流家庭をモデルとして考えてみると、アメリカの家族は開拓当時より一貫して核家族であったといわれる。日本の現代家族を親子本位とするなら、アメリカの現代家族は夫婦本位であり、夫婦単位の社交、友人の共有、夫の仕事に対する妻の援助などの特色がみられる。家族内における親子間の世代的区別は大きく、同じ家族成員でも大人と子供の世界は明確に隔てられているので、日本のように家族ぐるみでという機会はそれほど多くない。夫婦本位のアメリカの家族では、子供はいずれ巣立っていく存在であり、実際、20歳前後になれば親元を離れて自立していく子供も少なくない。アメリカの家族が気軽に子供の養子を受け入れるのは、このような親子関係に基づくところが大きい。
 家事・育児は夫婦に共通する役割と考えられており、子供のしつけについては、独立心を養い、自立に必要な技能を身につけさせることを目標としている。日本のように情緒的に依存させるという方法とは異なって、あらかじめルールを設定し、ルール違反に対しては相応の罰を与えるという方法がとられる。子供とはいえ年齢相応の家事分担もあり、自立を目ざす社会化の一つとなっている。配偶者の選択はすべて恋愛に基づくデートを通して行われる。インターネットのような今日的な結婚相手紹介サービスを活用する・しないにかかわらず、日本のような見合いの制度はない。デートは単なる若者の風習というよりは、家族形成にかかわるアメリカ文化の一部である。したがってデートのために帰宅時間が遅くなっても、社会はもとより、親も子供をそれほど強くとがめるようなことはない。
 夫婦の結び付きの基礎は愛情であるが、いわゆる愛情べったりではなく、互いに異なった個性をもつ個人が、それぞれの主張や行動を相手に投げかけあう緊張のなかに夫婦でいることの喜びと意義をみいだしている。この意味で、アメリカの夫婦はよきライバルであり、夫婦生活はそれぞれの個性を発展させる場であるともいえる。子供がすべて成人して巣立ったあと、老夫婦は子供と別居して暮らすことになる。日本のように成人した子供が老親と同居するという慣行はない。しかし、別居といってもできるだけ近くに住む例も多い。さらにクリスマスや感謝祭などには遠方に住む子供たちも親元へ戻ってくる。一般に老親と成人した子供の結び付きはきわめて強い。
 アメリカ家族に離婚が多くみられることから、アメリカ家族の崩壊を懸念する向きもあるが、再婚も離婚に劣らず多くみられるので、一概に家族崩壊とみることはできない。反対に家族生活に高い価値を置いているので、よりよい結婚を求めるあまり離婚者が多いとみることもできる。しかしスウェーデンなどと並んで世界的に高い離婚率は、やはり家族生活に大きな影響を与えている。父子家庭・母子家庭の増加、連れ子とともに再婚することによる複雑な親子関係、再婚生活のモデルが少ないことによる再婚生活の不安定性などがそれである。[増田光吉・野々山久也]
中国の家族
伝統的な中国家族の理想型は合同家族である。合同家族とは、成人した子供(男子)が結婚後もその妻子とともにすべて親の家にとどまって生活する家族類型をいう。かつての日本の直系家族のように長男のみが単独に相続する場合とは異なって、女子を含むすべての子供が親の財産を均等に相続し、とりわけ男子は結婚後も親の家にとどまって大きな家族をつくることが理想とされた。しかし実際には合同家族においても父親の死後、それぞれの子供夫婦が核家族単位に分裂するのが普通であった。このような事情から、中国家族の主要な部分はかなり以前から核家族であった。
 中国の家族は、家族の上位集団をなす宗族(そうぞく)の一部とみることもできる。宗族は同じ出自集団とみなされる同姓集団であって、同姓の家族は原則として同じ祖先をもち、同じ宗族の一員と考えられている。そして現実には、同じ地域に住む同姓の家族が宗族としての結合意識をもち、祖先祭祀(さいし)や相互扶助などを行っている。宗族の範囲を絶えず確認する目的で一族のすべての名前や略歴を記載した族譜がある。族譜に記載された範囲が同一宗族の成員であり、成員としての権利・義務を共有する。族譜を管理し、絶えず更新するのは宗族の役割の一つである。
 中国の家族の重要な機能の一つは祖先の祭祀であり、宗族所管の祀堂において宗族のレベルでの祭祀をする。代々にわたって祭祀を営んでいくために、どの家も跡取りとしての男子が必要とされる。養子を迎える場合にはかならず血縁者でなければならない。宗族はまた外婚の単位であり、同姓の者同士は結婚することができない。個人は家族の一員であると同時に宗族のメンバーでもあるので、宗族を表す姓を生涯にわたって保持していかなければならない。妻が結婚後も夫方の姓を名のることなく、生涯にわたって自己の出自の姓を保持するのは、家族への所属よりも宗族への所属を重視することの表れである。夫婦の間に生まれた子供は父系制に従って父親の姓を名のることになる。親孝行に代表される儒教倫理は家族生活を根強く支配しており、伝統的な中国家族では家父長的な色彩が強かった。年老いた親を扶養するのはすべての子供の責務であり、老後のために子供をもつことはどの家族にとっても大きな関心事であった。ただし今日の中国では、結婚後妻が夫方の姓を名のることは選択の問題とされ、自由裁量に任されるようになってきている。[増田光吉・野々山久也]
20世紀後半から21世紀初頭の家族動向
20世紀の後半になって、旧来の家族の観念を大きく変えるような変化が世界的にみられるようになった。第一はシングルズsinglesとよばれる独身主義者の増加である。独身主義者といっても結婚否定論者ではなく、いわゆる適齢期や制度的な結婚を認めない人々をいう。この延長線上にみられるのが第二の無登録夫婦家族の増加である。スウェーデンでは1970年ごろから結婚登録をしないで同棲(どうせい)する男女が増加し、スウェーデン全体の夫婦に対する比率は約10%を占めるに至ったという。さらにデンマークでも同じ傾向がみられ、1970年代後半にはこのような夫婦の占める比率は25%以上になった。その結果、非嫡出子(嫡出でない子、婚外子)の出産が急増することになった。1975年時点のスウェーデンでは出生児総数の32%、1970年代前半のアメリカ、カナダでは12%、イギリス、フランス、西ドイツではそれぞれ7%前後が非嫡出子であった。その後非嫡出子は増加し続け、2000年代初頭では、スウェーデンをはじめ北欧で60%台、アメリカやイギリスで30%台、フランスで40%台となってきている。この動向はさらに進行してきており、それに沿って第三にあげられるのは一人親家族の増加である。未婚の母に加えて、離婚の増加による父子家庭や母子家庭の増加が一人親家族の増加に影響している。以前には一人親家族が欠損家族などとよばれたこともあったが、今日では多様な家族の存在を認める風潮がしだいに一般的になってきており、一人親家族もそれ自体、一つの家族形態として市民権を獲得し、そのまま「一人親家族」とよび改められてきている。
 ところで、このような家族の変化について家族崩壊とみる向きもあるが、今日では家族のあり方は唯一のものでなく、さまざまなケースの存在すること、つまり家族の多様性を認める傾向が強くなってきている。家族は弱体化したのではなくて、反対に官僚制的な組織社会、管理社会のなかで人間的な交流を可能にする唯一の小集団として、人々が家族に求める期待は依然として大きい。伝統的な家族の変化はありえても、家族そのものの崩壊は考えられない。
 全体として家族の動向をみるとき、初婚年齢の上昇、それに伴う出生児の減少、核家族の増加とそれに伴う世帯員数の減少、老年人口割合の増加、働く妻の増加などを世界的な傾向として指摘できる。これらの変化と関連して注目されるのはライフ・サイクルの著明な変化である。1920年(大正9)と1980年(昭和55)の2時点の比較による日本人のライフ・サイクルの分析によれば、平均寿命が長くなったことによるライフ・サイクルの変化はきわめて大きい。まず、職業生活から引退したあとの期間や、出産・子育て後の期間が長期化している。たとえば1920年モデルにおいては、男性は退職後1年半ほどで人生を終えるのに対して、1980年モデルでは退職後も10年ほどの期間をもつことになった。また1920年モデルの女性は平均5人の子供を産み、末子を産み終える年齢がおよそ36歳であるのに対して、1980年モデルでは子供の数が平均2人と少なくなり、末子を産み終える年齢もおよそ30歳と若返った。女性が子育てに拘束される期間は大幅に短くなり、熟年とよばれる世代が出現することになった。長命時代の到来は、結婚期間の長期化、老夫婦期間の出現、女性の場合、夫と死別したあと、かなりの期間にわたる一人暮らし期間の出現をもたらした。まず結婚期間であるが、1920年モデルの約37年間から、1980年モデルの47年間へとほぼ10年長くなった。1980年モデルでは子供が早く親元を離れるため、結婚生活の最終部分は老夫婦のみの生活となるが、これも1980年代後半以降目だつ傾向である。女性の場合、夫死亡後の寡婦期間が1920年モデルと比べて約8年と2倍になった。一人暮らしの老人女性の増加は新しい女性問題として注目を浴び、長命に伴うライフ・サイクルの変化は家族に対し新しい問題を投げかけている。[増田光吉・野々山久也]
新たな家族問題
高度経済成長期を経て、男女ともに高学歴化した今日の家族において、従来の夫婦のあり方は大きく変容してきている。たとえば、夫(父)は外で働き、妻(母)は内で家事育児という固定的な性別役割分業や男性中心の家庭生活の営み、あるいは結婚後夫方名字への変更による嫁役割の強要などに対して、妻たちの家庭外就労やキャリア追求をはじめ、女性たちの社会参加や男女共同参画型の家庭形成への国家的レベルでの政策転換など、さまざまな現象に現れてきている。かつてのような男性中心の家父長制家族は姿を消し、夫婦対等型家族への志向は大幅に増大してきている。こうした動向に即応できていない中高年夫婦の間では高い離婚率がみいだされ始めている。
 いうまでもなく、もっとも高い離婚率を示すのは結婚後まもない若い夫婦であるが、幼い子供をもつ夫婦の離婚は、再婚率の高くない日本では父子家庭や母子家庭など今日でも多くの問題を抱えることになる。一方、今日では子育てが若い夫婦に、ことに母親ひとりに集中する傾向にあり、いきおい孤立状態のなかでの子育てとなりがちで、児童虐待など子育て期の夫婦にとって大きな問題になりつつある。加えて、今日では、高学歴化に伴って育児期を終えても長い教育期を抱え、孤立しがちな多くの親たちは、心身ともに疲れきった状態にある。多くの兄弟姉妹にもまれて育つという経験のない子供たちが抱える学校生活あるいは友人関係などの苦悩に、貧しさやひもじさを知らない飽食の時代に育った子供たちは耐えることができず、容易に非行化や問題児童化しがちであったり、不登校など引きこもりがちになりやすい。
 ところで、長寿は長い間人々の願いであったが、今日ではそれは寝たきりや認知症への不安の源泉である。かつての「家」制度のもとでは、資産の蓄積は家の繁栄や子孫の繁栄のためにと意識されてきた。しかし今日では、一代でそれらが消失するにしても、多くの高齢者たちは自らの老後のための保障と考えるようになってきている。今日の長寿化は、「家」制度の崩壊とともにそれだけ老後の不安を高めている。一方、高学歴化した今日の共働きのキャリア追求型の家族にとって寝たきりあるいは認知症の高齢者を介護できる余裕は、まったくない。今日の家族にとって、老親介護は、充実した制度的サービスの存在を前提にしてのみ維持されるが、単独の家族機能として位置づけてしまえば、ほとんどの家族が即座に家族解体してしまうことは明白である。[野々山久也]

家族法改正の動向

家族に関する法律は、1990年代に入って、婚姻、離婚、相続、後見の分野において改正の動きをみせた。
 まず婚姻、離婚、相続の分野では、法制審議会が1991年(平成3)1月以降、家族法の見直しを進め、1992年12月の「婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告(論点整理)」および1994年7月の「婚姻制度等に関する民法改正要綱試案」を公表した。世論がこれらに好意的であったので、1996年2月、「民法の一部を改正する法律案要綱」を法務大臣に答申した。
 改正の背景として、国民の人生観・価値観の変化、多様化、とくに「家」の拘束からの脱却傾向、国際婦人年以降の国際的な動きに対応する政府の法制見直しの方針、選択的夫婦別姓に関する世論の動向、有責配偶者からの離婚請求に道を開いた最高裁判決(1987年9月2日)、破綻(はたん)主義(夫婦関係の破綻を離婚原因として認める考え)や夫婦別姓に関する外国の法制の動向があげられた。
 要綱の概要は以下のとおりである。
(1)婚姻適齢(結婚の最低年齢)は男女とも18歳。
(2)女性の再婚禁止期間を6か月から100日に短縮。
(3)選択的夫婦別姓制度の導入。別姓夫婦は婚姻の際に子の氏を決定。
(4)協議離婚に際して子の監護者、子との面会・交流、子の養育費を決定。
(5)離婚後の当事者の衡平のため、各種の具体的事情を考慮して財産分与を決定。財産に対する各自の寄与の程度が不明なときは等分(2分の1ルール)。
(6)離婚原因に婚姻の本質に反する5年以上の別居を導入。過酷条項を付す。
(7)嫡出でない子の相続分は嫡出子と平等。
 要綱の公表後、選択的夫婦別姓への反対が浮上し、政府による民法改正法案の国会提出は阻止された。議員立法の試みはあるが、政府案の国会提出のめどはたっていない。しかし要綱は、女性の自立と子の福祉を図ったものであり、社会的要求を基盤としているので、その内容の充実(協議離婚における意思確認制度など)と実効性の強化(とくに養育料や財産分与など)を含めて、これを実現する必要がある。
 これに対して、後見制度の見直しは急速に進んだ。改正の背景として、高齢社会の進展に伴い、家族の介護負担が深刻化し、身上監護と財産管理について助けを必要とする人が急激に増加したからである。これに対処するため、高齢者支援の車の両輪として、介護保険法が1997年に、成年後見制度が1999年に制定され、いずれも2000年(平成12)4月から施行された。
 成年後見制度は、判断能力の減退した成人(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者)を支援する制度であり、民法に規定された法定後見と、任意後見契約に関する法律に規定された任意後見とからなる。
 法定後見は、改正前の禁治産・準禁治産制度が、時間と費用がかかって利用が困難であり、また本人の能力を、必要以上に大きく画一的に制限した点を改めた。まず、判断能力がつねに欠けている人のための成年後見人、判断能力の著しく不十分な人のための保佐人に加え、判断能力の不十分な人のために比較的簡単につけることができる補助人の制度を置き、支援の範囲を拡大し、本人を虐待や財産被害から守ることとした。反面、本人の自己決定権を尊重し、残存能力を活用してできるだけ従来の生活を継続できるものとした(ノーマライゼーション)。
 任意後見は、判断能力が減退したときのために、本人自身が、任意後見契約によって、任意後見人に対して身上監護と財産管理を委託し、関係事務について代理権を与えるものである。この契約は、公正証書による締結と登記とを義務づけられ、家庭裁判所が必要と認めて、任意後見人を監督する任意後見監督人を選任したときから効力を発生する。
 介護保険法は、重度化、長期化して家族の手に余るようになった介護を社会化するものであり、自己決定の尊重とノーマライゼーションの原則にたち、従来の行政措置による福祉から、介護サービスを自分で選択する契約方式へと転換した点に特色がある。したがって、判断能力が減退した場合には、自己決定のための支援が不可欠であり、成年後見制度は、介護保険制度の円滑な運用に役だつことが期待されている。[利谷信義]

経済学からみた家族


家族の経済学とは
家族は血縁関係による結び付きであり、企業のような利益共同体とは異なる。また、本来、夫婦や親子の利他的な行動を基本とする家族の行動分析に、個人の利己的な行動を前提とする経済学の手法がどこまで適用できるか疑問をもつ人も多い。しかし、最小の費用で最大の成果を得ようとする人々の行動は、企業だけでなく、家族という組織内の行動についても共通したものである。たとえば、子供の喜びは親の満足でもあるとすれば、親が子供のために自らの利益を犠牲にする利他的な行動についても、家族全体としての効用最大化行動として考えられる。
 また、家族は、家事・育児・介護など、市場や公的部門と代替的なサービスを生産するとともに、消費や労働供給などの経済活動の主体でもある。経済発展のなかで、親子や夫婦関係に生じている大きな変化の背後にある経済的な要因に注目することが、将来の家族の方向を考えるうえでも必要となる。[八代尚宏]
親子同居の低下とその要因
夫婦を中心とする核家族が、今日のような普遍的なものとなる以前の典型的な家族の形態は、血縁関係に基づく3世代家族であった。これは一家の働き手の中心である夫婦とその子供、および両親、場合によっては未婚の兄弟姉妹までが同居する大家族であった。
 伝統的な家族は、いわば企業と同様な生産活動の単位として、一つの自給自足システムを形成している。家族世帯員の個別の労働に、その対価としての賃金が払われるわけではないが、家族の保有する資産(土地・住居)は実質的に共有であり、家族構成員の消費も共同で行われる。農家など自営業が経済システムの中心であった時期には、子供は労働力の提供だけでなく事業の後継者でもあり、親の老後の生活保障を担うという重要な機能を果たしていた。いわば子供は親にとって、経済的な価値を生み出す人的資本のような役割を果たす不可欠の存在であり、それを中心に家族は強い絆(きずな)をもつ社会制度であった。
 経済の生産活動の基本が、大家族を中心とした自営業の形態から、企業に勤めるサラリーマンという働き方が主流となるとともに、核家族世帯が家族の典型像となる。そこでは、所得水準の向上とともに、大家族が住居や食事をともにして生活費を節約する「家族規模の利益」よりも、異なる価値観をもつ世代が同居しないことによるプライバシーの価値が優先する。未婚の成人した若年者が親から独立したり、老親が子供世帯と別居して生活することによる単身世帯の増加も、所得水準の向上という経済的な要因により、コストが高くとも効用の大きなプライバシーを優先する行動の一つと考えられる。
 こうした家族行動変化の背景には、産業・就業構造の変化がある。伝統的な家族パターンをもつ自営業と家族従業者の就業者全体に占める比率は、1960年(昭和35)の47%から2010年(平成22)には12%にまで低下した(総務省「労働力調査」)。サラリーマン世帯にとって、仕事の場と生活の場とは完全に切り離されており、夫婦の親からの経済的な独立性は高まっている。また、都市部に居住する人口の比率が1950年の37%から2005年には86%にまで高まる(総務省「長期統計データ」)などの都市化の進展も、過去の慣習にとらわれない家族の自由な行動が可能となることで、核家族数をいっそう増加させる要因となった。
 親子の同居率は、就業形態や地域差以外に、親の経済的・社会的条件によっても大きく異なる。一般に親の年齢が高く、単身で女性であるほど、また体力が衰えているほど、子供と同居する親の比率は高い。これは家族の扶養機能が、依然有効であることを示唆している。もっとも経済的な要因も重要であり、他の条件を一定とすれば、親の所得水準が高いほど同居率は低いという関係がある。[八代尚宏]
女性の就業と家族内分業関係の変化
経済発展に伴う家族行動の大きな変化は、家族内労働から市場労働への代替と女性の社会進出である。急速な都市化の進展やサービス産業の成長、および女性の高学歴化は、よい就業機会を増加させ、夫婦がともに給与所得者として働く共働き世帯の急速な増加が進んだ。サラリーマンの妻が、家庭の外で夫とは別個の収入を得るような「共働き世帯」と、結婚した女性が伝統的な家族の一員として家業を助けるものの独自の収入をもたない「自営業世帯」との間には、女性の行動パターンに基本的な違いがある。
 自営業世帯の妻は、夫との共同経営者であり、仕事と家事・育児との時間配分は柔軟に行える、いわばフレックス・タイム制である。さらに多くの場合、夫婦がともに働く場所と生活する場所とは同一であり、通勤の必要性も少ないことから、女性の就業と家事・子育てとの両立は容易となる。
 これに対して、夫と妻とがそれぞれ別個の雇用主との雇用関係にあり、独自の収入を得ている共働き世帯では、時間配分の自由度は低く、女性が就業しながら子育てを行うことは困難な場合が多い。他方で、自営業や妻が夫に経済的に依存する専業主婦の場合と比べて、個人としての収入を得る女性の場合には、経済的な独立性が高いという面もある。
 こうした家族内での夫婦の分業関係を貿易関係に例えれば、自営業や専業主婦世帯は、日豪間のように互いに不足している商品や原材料を取引する垂直的貿易であるのに対して、共働き世帯は、日米間のように競合する商品を取引する水平的貿易の関係にある。いわば日米貿易摩擦のように利害対立が生じて、離婚率が高まりやすい状況となる(詳細は、項目「婚姻」の「結婚の経済学」の章を参照されたい)。[八代尚宏]
女性の社会進出を支える公共政策
サラリーマンとしての女性の増加により、これまでの妻子を養う世帯主男性を暗黙の前提としてきた日本の固定的な雇用慣行との間にさまざまな問題が生じる。以前から、中学・高校を卒業した女性が工場などで働くことは珍しくなかったが、それはあくまでも短期間の就業にとどまっており、結婚や出産時の退職が普遍的なものであった。しかし、女性の高等教育機関への進学率の高まりとともに、男性と同様に結婚・出産後も職場にとどまる比率が高まる傾向にある。
 既婚女性が男性と同様にフルタイムの仕事を続けるためには、夫の協力以外にも、従来もっぱら家族内部で行われていた子育てや介護機能の社会化が必要となる。これは、まず、子育てや介護のための休業制度である。保育に関しては、出産後に1~1.5年間の育児休業(無給)制度があり、失業に準じたものとして雇用保険給付(従前賃金の50%)が支給される(2001年施行)。事業主に対して、その間の雇用保障や職場復帰後の不利益な取扱いが禁止されている。また、家族に要介護者が生じた場合に、それに対応した準備を整えるための準備期間として、3か月の介護休業(無給)が認められており、やはり雇用保険給付(従前賃金の40%)が支給される。
 家族への公的な支援として、高齢者介護リスクを社会的に分担するための公的介護保険が、2000年度(平成12)から施行された。これは40歳以上の者の保険料負担により、要介護認定を受けた高齢者が、その重度に応じた在宅・施設での介護サービスを受給できる社会保険である。これは従来の公的福祉と比べて、企業などによる多様な介護サービスの供給が可能となり、それだけ個人の選択の余地が広がることになった。
 さらに、就業継続と子育てとの両立を図るための社会的インフラとして、保育所が市町村や社会福祉法人によって運営されている。これらは利用者の負担を軽減するため、一定の設置・運営基準を満たすことを条件に公的補助金が交付されている。もっとも、保育需要が大きな都市部では多数の待機児童が発生しており、その速やかな解消が求められている。[八代尚宏]
家族に関する税・社会保険制度の課題
現在の税や社会保険などの公共政策は、暗黙のうちに、夫が家庭の外で働き、妻が家庭を守るという伝統的な家族に有利になっている。まず、所得税の制度についてみると、日本では原則として個人単位をとっており、共働き世帯であれば、夫婦の各々に課税される。しかし、この例外が配偶者控除であり、家庭に一定の所得水準以下の配偶者がいれば、その分だけ世帯主の所得税が少なくなる特典が与えられている。これは専業主婦が、障害者や、被扶養者としての子供・高齢者と同列に、世帯主にとって一方的に扶養負担のみがかかる存在とみなされていることを意味し、多様な働き方の家族間での公平性と効率性の両面で大きな問題がある。
 家族の合理的な行動を前提とすれば、その世帯員が家事労働に専念することと市場で働くこととは同等の価値をもっている。すなわち、家事労働は、市場サービスと代替的なサービスを家庭内で生産する活動であり、同時にそれを自ら消費しているものと考えられる。これは農家が自ら生産した農産物を、市場で販売するかわりに、自家消費することと同じ行動である。それにもかかわらず、かりに市場で働く場合には、その所得に税金が課される半面、生産活動としての家事労働に対しては、世帯主の所得から扶養控除という形で政府が補助金(マイナスの税金)を与えていることになる。こうした市場労働と家事労働との間での税制上の差別的な取扱いは、異なる就業形態の家族間での選択肢にバイアスをもたらすことになる。
 こうした配偶者控除の存在理由に関しては、いくつかの説明がなされている。まず、「子育て負担」に見合う控除であるという見方があるが、そうであれば、子供を育てている自営業世帯・共働き世帯にも平等に適用される子供扶養控除の拡大にあてるべきだという反論がある。また、「家事労働への評価」とする説もあるが、これは単身者や共働き世帯でも、同様に家事労働は行っていることから、専業主婦の家事労働だけが社会的に「評価」されるのは不公平といえる。そもそも、配偶者の家事労働の受益者は世帯主であり、政府(国民一般)ではない。女性が家庭にとどまることに、社会的に特別の価値があると考えない限り、こうした税控除制度は正当化できない。
 配偶者控除制度は、労働市場をゆがめる効果もある。配偶者が就労する場合に、その所得が一定の水準を上回ると、その増加額に見合って世帯主の配偶者控除額が減らされるため、事実上、家族にとっての増税と同じ効果をもつ。これに加えて、夫の会社での配偶者手当が、配偶者控除の規定に倣って妻の所得が一定の水準を超えると打切りになる場合もある。このように、市場で働かない配偶者へのさまざまな優遇措置は、逆に、女性が家庭外に出て働こうとする場合、それによって不利益を被ることになり、女性の就業行動を抑制する大きな要因となる。
 公的年金や医療保険制度における配偶者の取扱いも所得税と共通している。年金の場合、自営業者世帯を対象とした国民年金と、サラリーマンを対象とした厚生年金・共済年金とでは大きく異なる。国民年金は、あくまでも個人単位で、夫も妻もそれぞれが独自に保険料を支払い、年金の給付を別々に受け取る仕組みになっている。これに対して、厚生年金や共済年金は家族を単位としており、妻は夫の生存中はその年金で、また夫の死亡後は遺族年金で保障されるという考え方になっている。こうした制度の下では、高齢になって離婚した場合、妻の年金収入がなくなるという問題が生じる。これに対して、1986年(昭和61)の公的年金の改革で、サラリーマン世帯の無業の妻も自営業と統合されて基礎年金の受給者となり、保険料が収入に比例していた厚生年金や共済年金は、この上乗せ分として存続することになった。
 しかし、この改正の際に、サラリーマン世帯の無業の妻を、自営業者の場合のように、個人ベースで国民年金に強制加入させるかわりに、家族単位で夫の保険料でカバーされる仕組みとしたことが、後に大きな批判を受ける原因となった。つまり、単身や共働きの世帯と比べた片働き(専業主婦)世帯は、世帯主の賃金水準が同じであれば同じ保険料を支払うにもかかわらず、給付面では2人分の基礎年金を受け取る。これは片働き世帯の費用負担を、単身の男女や共働きの妻が間接的に負担していることになる。離婚に伴う無年金者の発生を防止する観点からは、むしろ世帯主の報酬比例年金分も含めて、夫の年金を夫と妻の間で婚姻期間に応じて分割することが、妻の家庭内生産活動への貢献分として妥当なものといえる。
 現行の雇用慣行や税・社会保険などの公共政策は、女性は適齢期になれば結婚するのが当然であり、また結婚すれば家庭にとどまるのが普通であるというような暗黙の前提のうえに成立している。その結果、こうした女性のライフ・サイクルから外れた独身者や共働き世帯の配偶者は、専業主婦と比べて相対的に不利な扱いを受けることになる。家族の就業形態に対して、税制や社会保険制度が差別的な影響を与えることは、労働供給の効率性や所得分配の公平性を妨げる大きな要因であり、女性の就業の有無にかかわらず、中立的な個人単位の制度への改革が必要とされる。これが家族の経済学から得られる一つの政策的な意味である。[八代尚宏]
『●社会学 ▽小山隆編『現代家族の役割構造』(1967・培風館) ▽増田光吉著『アメリカの家族・日本の家族』(1969・日本放送出版協会) ▽戸田貞三著『家族構成』(1937・弘文堂/1970・新泉社) ▽森岡清美著『家族周期論』(1973・培風館) ▽大橋薫・増田光吉編『改訂 家族社会学』(1976・川島書店) ▽G・P・マードック著、内藤莞爾訳『社会構造』(1978・新泉社) ▽望月嵩・本村汎編『現代家族の危機』(1980・有斐閣) ▽上子武次・増田光吉編『日本人の家族関係』(1981・有斐閣) ▽姫岡勤著『家族社会学論集』(1983・ミネルヴァ書房) ▽布施晶子著『結婚と家族』(1993・岩波書店) ▽袖井孝子・鹿島敬著『明日の家族』(1995・中央法規出版) ▽野々山久也・袖井孝子・篠崎正美編著『いま家族に何が起こっているのか――家族社会学のパラダイム転換をめぐって』(1996・ミネルヴァ書房) ▽望月嵩著『家族社会学入門』(1996・培風館) ▽森岡清美・望月嵩著『新しい家族社会学』(1997・培風館) ▽野々山久也・渡辺秀樹編著『家族社会学入門――家族研究の理論と技法』(1999・文化書房博文社) ▽樋口恵子編『対談 家族探求――樋口恵子と考える日本の幸福』(1999・中央法規出版) ▽山田昌弘著『家族のリストラクチャリング』(1999・新曜社) ▽野々山久也著『現代家族のパラダイム革新』(2007・東京大学出版会) ▽野々山久也編『論点ハンドブック家族社会学』(2009・世界思想社) ▽L・H・モルガン著、青山道夫訳『古代社会』全2冊(岩波文庫)』
『●法律 ▽榊原富士子・吉岡睦子・福島瑞穂著『結婚が変わる、家族が変わる』(1993・日本評論社) ▽利谷信義著『家族の法』(1996・有斐閣)』
『●経済学 ▽八代尚宏著『結婚の経済学』(1993・二見書房) ▽A・シグノー著、田中敬文・駒村康平訳『家族の経済学』(1997・多賀出版) ▽八代尚宏著『日本的雇用慣行の経済学』(1997・日本経済新聞社) ▽八代尚宏著『少子・高齢化の経済学』(1999・東洋経済新報社) ▽八代尚宏著『新自由主義の復権』(中公新書) ▽Gary BeckerA Treatise on the Family(1981, Harvard University Press)』

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世界大百科事典内の家族の言及

【親子】より

…南太平洋のトロブリアンド諸島の原住民は,子の出生にあたっての父親が果たす役割を知らない。にもかかわらず,家族生活では,タマと呼ばれる男性が子どもにとっては母親の親しい人であり,愛情をこめて自分たちを養育してくれる男親であって,今日の父親のイメージと本質的には異ならない。彼らは父子間の血のつながりを知らないにもかかわらず,社会的な父親の存在を認めていることになる。…

【家父長制】より

…家父長制は次の三つに分類できる。(1)家族類型としての家父長制 家族におけるいっさいの秩序が,最年長の男性がもつ専制的権力によって保持されている場合,こうした家族は〈家父長制家族patriarchal family〉とよばれる。家父長paterfamiliasは,奴隷ばかりでなく妻や子どもに対しても(極端な場合)生殺与奪を含めて無制限で絶対的な権力をふるう。…

【近世社会】より

…この関係をやや内容を含めて概括すると,次のようにいうことができる。近世社会の特質は,夫婦家族の労働力を中心として,小規模農業を営む小農から,年々同じ規模の農業を営むにたる物量を残して,その他を全部年貢として取り立てる武士である領主階級との対立のなかから出てくる。初期には,この年貢のなかに治水労働などを中心とする労働や,米以外の雑多な生産物も含まれていたが,米主体の年貢へと変わっていく。…

【子ども(子供)】より

…最近はしばしば〈子どもへのまなざし〉という,より象徴的な把握が試みられているが,これは両者がより一体的・統合的に機能すると考えられ始めたことを示している。
[〈子ども〉の発見]
 フランスの歴史学者アリエスPhilippe Ariès(1914‐84)が,《家族の中の子どもL’enfant dans la famille》(1948),《子供の誕生L’enfant et la vie familiale sous l’Ancien Régime》(1960)などの論稿で提示したのは,子どもおよび子ども時代が,ヨーロッパ17世紀という時代の〈まなざし〉によって発見されていく過程であった。アリエスは〈昨日,それは何であったか? 無であった。…

【食事】より

…すなわち,人類の食事は個人的行動ではなく社会的行動である。文化の別をこえて,人類に普遍的な共食の基本的集団単位は家族である。家族という集団は,特定の男女間の持続的な性関係の維持と,その間に生まれた子どもの養育をめぐってなされる食料の獲得と分配に関する経済単位として成立したものと考えられている。…

【女性運動】より


【概観】
 女性運動は近代社会の産物である。封建的共同体の崩壊と産業革命による家族の変質の結果,家族に包摂されてきた女性の生活は不安定になり,他方,自由と平等を説く近代の人間解放思想は,女性に自分のおかれた差別と依存の状態を認識させた。このような社会的・思想的変動のなかで,女性は自分の生き方を模索し,状況の変革を求めるようになる。…

【人類】より

…雑食性もヒトだけの特性ではなかったし,近親婚の回避や,集団間での女性の交換といった項目も人類に固有の特性ではないことが明らかになった。今日,ヒトを人類学的に定義するに際して有効な特性としては,直立二足歩行,音声言語,人間家族の3者をあげるのが適切であろう。直立二足歩行は,霊長目中人類だけに見られる顕著な特性であるが,その解明は人類学上の難問の一つとされ,まだ定説が得られているわけではない。…

【中央アジア】より

…すなわち,中央アジア遊牧民の衣食住は,基本的にすべてその所有物である動物によってまかなわれ,その社会を,南方のオアシス定住社会からは独立した,独自の社会と考えることができる。遊牧 遊牧民の最も小さな社会的単位は一つのテントに同居する家族であるが,これらの家族は,共通の祖先をもつと考えられている他の家族とともに,一つの遊牧集団を形成して,ともに遊牧した。この遊牧集団を構成した家族の数は必ずしも一定せず,数家族の場合もあれば,50家族にものぼる場合もある。…

【百姓】より

…近世初期,17世紀前半期においては,高請地を所持し,年貢と夫役とを負担する役負百姓が厳密な意味での百姓であり,これを初期本百姓ともいう。初期本百姓は,検地帳に田畑とともに屋敷を登録され,家族形態は複合大家族(直系親族,半隷属的傍系親族,隷属的非血縁下人などから成る)の形態をとり,大規模農業経営(数町~十数町)を営んでいた。彼らは村落内部の生産,生活,祭祀などの全般にわたって弱小農民に対して優位を保持し,用水,農用林野(肥料,燃料,用材の供給地)を支配し,宮座(みやざ)に列するなどした。…

※「家族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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