アイルランド・ゲール語(読み)あいるらんどげーるご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイルランド・ゲール語」の意味・わかりやすい解説

アイルランド・ゲール語
あいるらんどげーるご

アイルランド語はインド・ヨーロッパ語族に属するケルト語のゴイデリックGoidelic(Q Celtic)に分類される言語である。ゲール語ではゲルガGaeilgeとよぶ。アイルランドはローマの侵寇(しんこう)を免れたので、前5世紀ごろからの、現在のケルト系の文化を構成したケルト系諸部族の渡来以来、彼らの言語を高度な音声言語にまで発達させる余裕がもてた。古代における口承文学時代に、詩人フィラ)や語部(かたりべ)(シャナヒー)は表現の芸術性を高め、5世紀のキリスト教の定着とともに文字が導入されると、7~11世紀ごろには、古代ゲール語による文学はヨーロッパ随一たるを謳歌(おうか)した。1845~1846年の大飢饉(ききん)で一時衰退したが、やがて再建運動が興り、現在では、ゲール語はアイルランドの第一国語である。構文では、文頭に動詞を置き、Yes, Noにあたることばがなく、動詞の活用で答える。気音aspirationや無気音eclipsisも頻繁におこる。

[三橋敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android