化学辞典 第2版 「フガシティー」の解説
フガシティー
フガシティー
fugacity
逸散能ともいう.化学熱力学において,実在気体の実際の圧力のかわりに用いられる“理想化”された圧力.理想気体(添字iで表す)の一定温度Tにおける微小圧力変化に対しては,次式が成り立つ.
dGi = Vidp = RTd ln p
ここで,Gはギブズエネルギー,Vはモル体積,pは圧力,Rは気体定数である.実在気体(添字r)に対してもこれと同じ形の式,
dGr = Vrdp = RTd ln f
が成り立つように,pのかわりに用いられる量fをフガシティーといい,圧力の次元をもつ.ごく低い圧力 p1 ではfはpに近づく.上の2式を p1 から任意の圧力pまで積分して両者の差をとり,p1→0とすると,
を得る.ここで,Vi = RT/p.左辺のf/pをフガシティ係数という.この式を用いて実在気体のp-V関係の実測値からfが求められる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報