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現実の気体が示す性質を抽象化し,その極限の形として思考上導入された気体。微視的にいえば,分子間に相互作用の働かない理想的な気体である。理想気体の性質として,(1)ボイル=シャルルの法則に従う,(2)内部エネルギーが温度だけの関数で体積には依存しない,(3)定積比熱や定圧比熱が一定で温度には無関係であるなどがあげられる。ヘリウム,アルゴンのような単原子気体,高温低圧下での水素や酸素などは,近似的に理想気体の性質を示す。一般に,低圧高温の極限ではどんな気体でも理想気体としてふるまうと考えてよい。なぜなら,低圧だと分子間の平均距離が十分大きいので分子間力は無視でき,高温では分子の運動エネルギーが分子間の位置エネルギーよりはるかに大きいからである。1850年,R.クラウジウスは永久気体(現在でいう理想気体)に即して熱に関する論文を発表したが,理想気体の性格が明確になったのは,気体分子運動論,統計力学が発展した後のことである。
→気体
執筆者:阿部 龍蔵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ボイル-シャルルの法則に従う気体で,分子間相互作用および気体分子自身の体積の容器の容積に対する割合が,ともに無視できるような状態にある気体をいう.したがって,液化しにくい気体がこの状態になりやすく,しかも同一気体においては,温度が高く,圧力が低いほどこの状態に近くなる.ボイル-シャルルの法則によれば,すべての気体について,圧力p,体積V,温度Tの間に
pV/T = 一定
の関係がある.一方,アボガドロの法則によれば,すべての気体は同じp,V,Tでは同じ数の分子を含む.したがって,同じ1 mol の気体については
pV = RT
の関係が成り立ち,比例定数Rは気体の種類に無関係な基本物理定数(気体定数)となる.n mol 気体については
pV = nRT.
これらの式を理想気体の(状態)式という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その結果,気体では分子間の相互作用は小さく,分子はほとんど自由に運動していると考えてよい。分子間の相互作用が0であるような理想的な気体を理想気体という。
[状態方程式]
一定量の気体の圧力p,体積V,絶対温度Tの間には一定の関係が成り立つ。…
…ここでRは気体定数と呼ばれる。 (1)は,厳密にいうと分子間に力が働かないような気体(理想気体)に対して成り立つ状態方程式である。現実の気体でも,それが常温,常圧であれば,十分な精度で(1)が正しいと考えてよい。…
※「理想気体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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