ワイス,Pierre(読み)わいす

世界大百科事典(旧版)内のワイス,Pierreの言及

【交換相互作用】より

…この力が量子力学的に導かれる交換相互作用である。量子力学が誕生する前,1907年にP.ワイスは,個々の磁気モーメントに分子磁場と呼ぶ,その物質がもつ磁化に比例する磁場が働くとして,強磁性を説明することに成功した。しかし,その分子磁場が何に由来するかは28年のW.ハイゼンベルクの論文に待たねばならなかった。…

【磁気】より

…そして1895年にP.キュリーは前者の磁化率はほとんど温度に対して不変であるのに対して,後者の磁化率は絶対温度に反比例して,低温になるほど増大することを発見し,1905年この常磁性磁化率の温度変化は,P.ランジュバンによって分子磁気モーメントが熱振動するという考えで理論的に導かれた。そして,07年P.ワイスは強磁性体では分子磁気モーメントは周囲の分子から強力な分子磁場を受けて互いに平行に配列し,いわゆる自発磁化を形成することを理論的に示した。強磁性体が強い磁気を示すのは,このような自発磁化をもつためであるが,強磁性体がつねに自発磁化の強さにまで磁化しているとは限らないのは,これが多くの磁区に分かれているからである。…

【磁区】より

…磁区の大きさは小さいもので10-4cm,大きいもので1cm程度である。 磁区の存在は1907年P.ワイスによって予想されていたといわれるが,実験的には31年アメリカのビッターFrancis Bitter(1902‐67)により初めてその存在が示され,理論的研究はL.D.ランダウとE.M.リフシッツにより始められた(1935)。 磁区構造を定める要因には静磁エネルギー,結晶磁気異方性エネルギー,磁歪(じわい)などがある。…

【磁性】より

…磁性の起源は電子の運動に基づく磁気モーメントであるから,磁性の理解も量子力学の展開を待たねばならなかった。それ以前の古典的な磁性研究としては,常磁性磁化率が絶対温度に反比例するというキュリーの法則,1907年のワイスPierre Weiss(1865‐1940)による強磁性を説明するための分子磁場(分子場,平均場ともいう)の概念の導入が挙げられる。この分子場というのは,個々の電子の磁気モーメントに働く,その物質の磁化に比例した磁場であり,この考え方は強磁性を含めて協同現象と呼ばれる物性物理学における典型的な現象を理解する鍵となるものであった。…

※「ワイス,Pierre」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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