三歳児(読み)みとせご

精選版 日本国語大辞典 「三歳児」の意味・読み・例文・類語

みとせ‐ご【三歳児】

  1. 〘 名詞 〙 年齢三歳(さんさい)の子。みつご。
    1. [初出の実例]「今様のみとせご、ちごの祈りし」(出典:枕草子(10C終)二五九)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三歳児」の意味・わかりやすい解説

三歳児
さんさいじ

3歳になるまでの大人と子供との親しい関係を基盤にしながらも、友達関係を楽しむ状態へと移行する時期であるが、個人差が著しい。情緒が安定し自発性発達している子供の場合には、3歳を過ぎると、積極的に友達を求め、ともに遊ぶことを楽しむようになる。友達の範囲はまだ狭く、多くは2、3人の子供とともに遊ぶ。その際、自発性の発達に基づく自己主張をするから、同じように自発性の発達している子供との間でけんかを繰り返しながら、友人形成の能力を発達させていく。3歳児は言語発達も著しいので、言語を通じて友達や大人との交渉が可能となり、社会性の発達とともに、知的能力も発達する。それを援助するためには、できるだけ命令的な圧力によるしつけをしないように努め、子供の自由な遊びを尊重することである。

 以上のことを考えて、幼稚園においては、3歳児をも対象とした保育が行われており、3歳児保育の意義は大きい。ただし、3歳児に対しては、できるだけ多くの自由遊びが実現できるような保育でなければならない。また、3歳になってから第一反抗期に入る子供がいる。その場合には、反抗を十分に受け入れる必要があり、それによって自発性が発達する。

 もし、友人に対する興味が少ない子供の場合には、自発性の発達を阻害する因子があることを考えなければならない。その阻害因子は、家庭における過保護または過干渉によっておこる。過保護とは、子供の自発性に任せることが必要であるにもかかわらず、手を貸してしまう養育態度である。過干渉とは、親の考える「よい子」の枠組みなかに子供を縛り付けて、自由に発想したり活動したりすることができない状態に陥らせることである。このような状態の子供は、おとなしく、親たちのいうことをよく聞く子供であったり、「内弁慶の外すぼみ」であったりする。それに気づいたならば、過保護や過干渉の養育態度を改めなければならない。これが実現されると、子供は友達と遊ぶことを楽しむようになり、自己主張に基づくけんかを始める。友人形成の能力が育ったわけで、4、5歳になると友達との遊びが次々と展開される。友人形成の能力は、小学校2、3年生になって現れるギャングエイジとも関係し、思春期における親友形成の能力にも影響する。

[平井信義]

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