…正二位権大納言に上ったが,1024年(万寿1)官を辞し京都の北山に出家隠棲する。大堰川に漢詩,和歌,管絃の三船をうかべ,その得意とするところによって人々を乗船させたとき,藤原道長をして,公任はどの船に乗るのだろうかと言わしめるほどの才があったという〈三舟の才〉の逸話に示されるように多才博識で知られ,道長全盛時の歌壇を代表する指導者の位置を占めていた。公任の著作活動は多彩であり,自身の和歌観を述べた歌論書としては,心姿相具をいう《新撰髄脳》,実作を格づけしてみせた《和歌九品(くほん)》などがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」