五手ず船(読み)いずてぶね

精選版 日本国語大辞典 「五手ず船」の意味・読み・例文・類語

いずて‐ぶねいづて‥【伊豆手船・五手船】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「手」は作ったものの意 ) 伊豆国製の船。伊豆国式の船。
    1. [初出の実例]「防人の堀江こぎづる伊豆手夫禰(イヅてブネ)かぢとるまなく恋はしげけむ」(出典万葉集(8C後)二〇・四三三六)

五手ず船の語誌

平安時代の例は見いだし難いので、その間に意味は忘れられたらしく、歌学書が輩出するに及んで、「いつてぶね(五手船)」と解して歌語として復活し、「出手舟」「五手舟」「伊豆出舟」などとさまざまに表記され、「出づ」とともに詠まれたり、「はやし」や「五」を導く語としても用いられた。なお、「万葉‐四四六〇」には「伊豆手乃船(イヅてノふね)」の例がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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