低地ドイツ語(読み)ていちドイツご(英語表記)Low German language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「低地ドイツ語」の意味・わかりやすい解説

低地ドイツ語
ていちドイツご
Low German language

ドイツ北部で話されるドイツ語。6世紀頃に始ったゲルマン語の第2次子音推移をこうむらなかったことにより,高地ドイツ語と分れた。この点はオランダ語と共通であり,したがって,オランダ語地域と低地ドイツ語地域とを一つの方言区域として,高地ドイツ語と対立させることができる。9世紀にさかのぼる文献から知られる古期低地ドイツ語は,古期サクソン語と呼ばれることが多い。主要作品は 830年頃の『救世主』 Heliand。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の低地ドイツ語の言及

【ドイツ語】より

…ドイツ語はまた,ルクセンブルク大公国において書き言葉として用いられ,東欧各地においては孤立言語圏を形成している。ドイツ語は,系統的にはゲルマン語派の中の西ゲルマン語に属し,ドイツ南部・中部の高地ドイツ語と,ドイツ北部の低地ドイツ語に大きく分けられるが,その中でも,標準ドイツ語の基礎をなす高地ドイツ語は,上部ドイツ語に属するバイエルン方言・アレマン方言・南ラインフランク方言・東フランク方言,中部ドイツ語に属する中部フランク方言・ラインフランク方言・東中部ドイツ語諸方言より形成される。この上部ドイツ語と中部ドイツ語の区別は第2次子音推移(語頭,子音の後,子音重複の場合に,pがpfに,tがz[ts]に,kがch[kx]に変化する)の中で,pからpfへの変化が起こっているかどうかという基準による。…

※「低地ドイツ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」