冷泉町記録(読み)れいぜいちようきろく

日本歴史地名大系 「冷泉町記録」の解説

冷泉町記録
れいぜいちようきろく

四冊

写本 京都大学古文書室

解説 京都市中京区室町二条上ル冷泉町(室町通、夷川・二条間)における、天正年間(一五七三—九二)から元文年間(一七三六—四一)の町史料であり、同種の町記録として最も古いものの一つである。原本所在は確認できないが、京大本には「右京都市室町二条上ル矢代庄兵衛氏所蔵、大正七年四月影写」と奥書が記されている。第一冊は「大福帳天正拾参年正月拾一日」、第二冊は「大福帳冷泉町東面天正拾年」、第三冊は「大福帳慶長拾弐年正月吉日」、第四冊は「京都冷泉町記録四」と表題を付す。実際の内容は、第一冊は天正一三年から元和三年(一六一七)の大福帳、第二冊が天正一七年から慶長一三年(一六〇八)までの算用帳、第三冊は慶長一二年から寛永七年(一六三〇)までの「万遣帳」である。祇園氏子圏外の冷泉町が、毎年のごとく「祇園会御輿轅銭」を出銭したこと、豊国祭に関連して「とよ国まいり」が行われたことなどが知られる。第一冊の天正一六年三月吉日の「家うりかい定之事」は、京都で最も古いものに属する町法度である。第四冊は天正一八年から元文四年に至る諸史料を含む。

活字本 日本都市生活史料集成一(三都篇I)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の冷泉町記録の言及

【絵屋】より

…室町末期から京都や堺などの都市で美術工芸品への需要の増大に応じてうまれた絵画生産業者。1603年(慶長8)刊行の《日葡辞書》は扇や着物に絵をえがく絵屋の存在を記すが,京都の《冷泉町記録》では1592年(文禄1)当時すでに3代続いた絵屋3軒の居住を記録し,扇屋・蒔絵屋・織屋などの町内40余軒の特産品生産業との連携活動を伝える。その制作の実態は,近世初期の俵屋宗達や海北友雪などの画業から推測すると,屛風,掛幅のほか料紙装飾,扇絵,貝絵など,主に仕込み絵的な一種の既製品を制作していたと思われる。…

※「冷泉町記録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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