原本(読み)ゲンポン(英語表記)Elements

デジタル大辞泉 「原本」の意味・読み・例文・類語

げん‐ぽん【原本】

翻刻・翻訳・抄録などする前の、もとの本。「原本との異同を調べる」
一定の内容を表示するため、確定的なものとして作成された文書。謄本抄本などのもとになる文書。「公正証書原本
物事の根本。おおもと。「原本にさかのぼる」
[類語]異本写本類書流布本海賊版底本原典原書テキストオリジナル原作出典典拠種本抄本校本定本

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精選版 日本国語大辞典 「原本」の意味・読み・例文・類語

げん‐ぽん【原本・源本】

  1. 〘 名詞 〙
  2. もと。根本。根源元本。〔漢語字類(1869)〕〔漢書‐匡衡伝〕
  3. 翻刻、抄録、改訂、引用、翻訳などをする場合に、もとになる書物。原書。また、うつしに対して最初に書かれた文書。
    1. [初出の実例]「史林残花出矣。不何人之作也。顧其為一レ書。原本曰妓史」(出典:洒落本・史林残花(1730)序)
    2. 「既に原本(ゲンポン)は焼て仕舞たが其写しなどが出て呉れなければ宜いが」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉欧羅巴各国に行く)
  4. 一定の内容を表示するために、確定的なものとして最初に作成した文書。謄本または抄本に対していう。判決原本、手形原本、公正調書原本など。
    1. [初出の実例]「私署証書は原本を以て之を提出す可し」(出典:民事訴訟法(明治二三年)(1890)三四九条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原本」の意味・わかりやすい解説

原本
げんぽん

作成者がある一定の内容を表示するために確定的なものとして作成した文書。正本、謄本、抄本などに対していわれ、そのもとになる文書をいう。たとえば、判決原本(民事訴訟法252条)、公正証書原本(公証人法42条・44条)、手形原本(手形法67条)など。原本には通常、作成者の署名捺印(なついん)があり、法律上保存しなければならない場合がある。

[池尻郁夫]

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普及版 字通 「原本」の読み・字形・画数・意味

【原本】げんぽん

根源。また、最初の書写刊本。〔顔氏家訓勉学〕郡國山川、官位姓族、衣皿制度、皆根して、其の原本を得んと欲す。

字通「原」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原本」の意味・わかりやすい解説

原本
げんぽん
Elements

幾何学原論』あるいは単に『原論』ともいう。ユークリッド著書。前 300年頃の作といわれ,13章から成っている。この『原本』に述べられたものが,いわゆるユークリッド幾何学で,実に 19世紀の中頃まで,唯一の権威ある数学書であった。『原本』は,定義,公準,公理から,他のすべての命題三段論法を用いて厳密に証明することにより,ギリシア数学を集大成したもので,その構成は学問的体系の範とされていた。『原本』には比例の理論,数論に関するものなど幾何学以外の内容も含まれているが,いずれも幾何学的色彩の強い扱いがなされているため,これを幾何学の書物としてみる向きもあった。

原本
げんぽん
original; Urschrift

作成者が一定の事項を表示するために確定的なものとしてつくった文書。謄本,抄本に対していわれ,それらのもとになる文書。手形原本 (手形法) ,判決原本 (民事訴訟法) ,公正証書原本 (公証人法) などがその例。一般に作成者の署名押印があり,公文書の場合には法律上保存しなければならないことがある。通常は1通であるが,必要があれば数通作成することもあり,その場合は全部同一の効力をもつ。

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