…さかなは酒肴,肴物ともいった。さかなとして供された食物の種類は多岐にわたるが,室町期までは干物(からもの),削物(けずりもの)などと呼ばれた魚貝類の乾燥品が多かった。しかし,1136年(保延2)12月に藤原頼長が催した大饗(だいきよう)のように,蒸しアワビ,キジの乾肉以下の干物8種,コイ,キジ,マス,スズキ,タイを含む生物8種その他といった例もある。…
…古代日本では〈からもの(干物)〉と呼び,生鮮魚貝類の少なかった平安京では副食品としてきわめて重要であり,《延喜式》によると都の西の市には干魚の店もあった。削って食べるものが多かったため〈削物(けずりもの)〉の称もあり,干鳥(ほしどり),楚割(すわやり),蒸蚫(むしあわび),焼蛸(やきだこ),干鯛(ほしだい)などは宮廷の宴会には欠かせぬものであった。干鳥は鳥肉とくにキジを干したもの,楚割は魚肉とくにサケを細く切って干したもの,蒸蚫はアワビを蒸して干したもの,焼蛸はタコを石焼きなどにして干したものであった。…
※「削物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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