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原題は《Vocabulario da lingoa de Iapam》。本編補遺合綴1冊。イエズス会宣教師数名(氏名不詳)の編。1603-04年(慶長8-9)長崎学林刊。オックスフォード大学ほか3ヵ所蔵。当時の日常語を中心にして,ほかに,文書語,歌語,女房言葉,方言などを含み,採録語彙(ごい)は約3万2800語に及んでいる。日本語をローマ字で表記し,アルファベット順に配列し,ポルトガル語でそれを的確に説明するとともに日本語の類例などをあげる。当時の日本人の作った辞書に比べてきわめて優れており,利用価値も非常に高い。スペイン語訳《日西辞書》(1630)およびパジェスのフランス語訳《日仏辞書》(1862-68)があり,森田武ほか2名による邦訳本がある。
執筆者:福島 邦道
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キリシタン宣教師の日本語修得のため、日本イエズス会が刊行した辞書。本篇(ほんぺん)1603年(慶長8)、翌年補遺刊行。口語を中心に文書語、詩歌語、仏教語、婦人語、幼児語、方言、卑語、さらには教会内でつくられた語までを含む3万余語を収録。ポルトガル語で説明を付し、特殊語にはその旨注記し、重要な語には例をあげて用法を示し、さらに発音、文法、語の表現価値にまで及び、類義語、対義語などをあげることもある。ロドリゲスの著した『日本大文典』とともに、その国語学的価値はもちろん、広く文化史研究に不可欠である。オックスフォード大学ボードレイ文庫、ポルトガルのエボラ公立図書館、パリ国立図書館、マニラ聖ドミンゴ修道院などに現存する。
[阿部健二]
『土井忠生・森田武・長南実編・訳『邦訳日葡辞書』(1980・岩波書店)』▽『土井忠生著『吉利支丹語学の研究』新版(1971・三省堂)』
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日本語をポルトガル語で説明した辞書。1603年(慶長8)本編,翌年補遺出版。日本イエズス会宣教師編。長崎学林刊。収載語彙数3万2293語。当時の口語を中心に広範な日本語を採集・収録している。宣教師の布教に必要な規範的な日本語運用力養成を重視して,方言・卑語・婦人語・幼児語などを理解しても使用してはならない語として注記されている。ABC配列で,日本語表記にあたってはポルトガル語式の綴字法によりつつ,正確な発音を写すための工夫がされている。室町時代語研究上不可欠な資料。
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…平安時代に貴族のあいだで行われ,やがてそれが恋の相手などへの思慕のメッセージをさすものとなったのが〈落し文(おとしぶみ)〉であり,詩歌という形にとらわれず匿名の風刺をさす語となったのが〈落書〉である。16世紀に長崎の宣教師たちが編んだ《日葡辞書》がRacuxo(ラクショ)の訳を〈caqivotosu(カキオトス)〉,だれかある人にあてつけて,人目につく所に置く風刺などの貼紙,としているのは,他人をおとしめるために書く行為という目的ないし意図にこの語の中軸があったことを伝えるものである。落書がひときわ盛んだったのは,幕藩体制下のとくに19世紀の江戸においてである。…
※「日葡辞書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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