医略抄(読み)いりゃくしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「医略抄」の意味・わかりやすい解説

医略抄
いりゃくしょう

医書。平安中期の医師丹波雅忠(たんばのまさただ)が1081年(永保1)に撰(せん)した。全1巻。曽祖父(そうそふ)丹波康頼(やすより)撰の『医心方(いしんほう)』が大部で繁細であったため、救急に必要な52項目を選び、治療法を簡明に記したもの。現存する日本の医書として『医心方』に次いで古い。ただし、すべて中国の六朝(りくちょう)・隋(ずい)・唐、ないしは百済(くだら)の医薬書からの引用で、ほとんど『医心方』の記載と重複する。雅忠の後裔(こうえい)の多紀元簡(たきもとやす)が1795年(寛政7)に校刻してから世に流布した。

[小曽戸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android