…《カルミナ・ブラーナ》など中世以来の学生歌の集成公刊は18世紀末に始まり,ナポレオン戦争を通じて高まった自由主義的ないし愛国主義的なブルシェンシャフト(学生団)結成の動きと相まって,19世紀前半に新旧の歌を集めた多くの学生歌集が編まれた。ブラームスは《大学祝典序曲》(1880)の中に4曲の学生歌をちりばめているが,そのそれぞれ(《我らは築きぬ堂々の館》《静粛に諸君,耳傾け給え真摯な響きに》《新入り歓迎歌》《されば楽しまん》)が学生歌の歴史と傾向を反映している。もっともその第3歌は大学受験ラジオ講座のテーマ音楽として日本ではポピュラーになったが,新入生が先輩に奉仕を強いられた過去の因襲を想起させるためであろうか,現代の学生歌集には見当たらないようである。…
※「大学祝典序曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」