…劇中歌とは,狂言の演目から独立している小曲で,複数の演目に自在に流用される謡をさす。これには,酒宴の余興などに謡い舞われる小舞謡(こまいうたい)と称する小品舞謡曲と,人物の登退場時や酌をするときの小謡(こうたい)と称する短い謡の一節とがある。小舞謡は,現在,大蔵流に59番,和泉流に71番あり,《海人(あま)》《鵜飼》《景清》《泰山府君》《道明寺》《弱法師(よろぼし)》など能の謡曲出自のもの,《暁(あかつき)の明星》《宇治の晒》《海道下り》《七つに成子》《番匠屋》《府中》《柳の下》《よしの葉》《鎌倉》《柴垣》《十七八》《住吉》《兎》《瓢簞》《鶉舞》など,中近世の流行歌謡出自ないし狂言独自の創作歌謡がある。…
…詞章は自分で舞いながら謡うばあいと相手役が謡うばあいとある。この小舞の際に謡う曲を小舞謡という。いずれも単独に完結した小品舞踊曲なので,どの小舞をどの狂言に用いるかは流動的だが,現在では,たとえば《七つに成子(なるこ)》を《棒縛》に,《海人》を《寝音曲》に用いるというように,ある程度まで演出が固定して定型化したものもある。…
※「小舞謡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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