内科学 第10版 「巨核球系細胞」の解説
巨核球系細胞(成熟血球の産生制御機構)
巨核球系の前駆細胞CFU-Megは増殖した後に,巨核球系細胞に特徴的な,多倍体化とよばれる細胞分裂を伴わないDNA合成を繰り返し,成熟巨核球となる.その後,成熟巨核球からproplatelet(血小板前駆体)とよばれる細胞質突起が形成され,それが断片化し血小板が産生される.通常,1つの巨核球から約3000個の血小板が産生される.血小板産生系における最も重要な造血因子はおもに肝臓で産生されるTPOである.TPOは血小板数に左右されず常に一定量産生され,血小板表面,骨髄巨核球表面のTPO(トロンボポエチン)受容体に結合し分解される.この結果,血清中のTPO濃度は血小板減少症では高値,血小板増加症では低値となり血小板産生のホメオスターシスが保たれる.[松村 到]
■文献
Abboud CN, Lichtman MA: Structure of the marrow and the hematopoietic microenvironment. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp35-72, McGraw-Hill, NY, 2006.
Dacie JV, Lewis SM: Practical Hematology, 7th ed, Churchill Livingstone, Edinburgh, 1991.
Kipps TJ: The lymphoid tissues. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp73-81, McGraw-Hill, NY, 2006.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報