細胞分裂(読み)サイボウブンレツ(その他表記)cell division

翻訳|cell division

デジタル大辞泉 「細胞分裂」の意味・読み・例文・類語

さいぼう‐ぶんれつ〔サイバウ‐〕【細胞分裂】

細胞の増殖方法で、1個の母細胞から2個以上の娘細胞じょうさいぼうに分かれる現象。核分裂とそれに続く細胞質の分裂からなる。分裂のしかたには有糸分裂無糸分裂とがあり、有糸分裂には減数分裂体細胞分裂とがある。

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精選版 日本国語大辞典 「細胞分裂」の意味・読み・例文・類語

さいぼう‐ぶんれつサイバウ‥【細胞分裂】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 細胞が二個の新しい細胞に分かれること。細胞の増殖法で、細胞分裂の結果生じた細胞を嬢細胞(じょうさいぼう)、もとの細胞を母細胞という。一般に、細胞核が二分する核分裂と、それに伴って細胞質が二分する細胞質分裂とからなる。植物では核分裂の後期に細胞の中央に細胞板とよばれる隔膜が生ずるが、動物では細胞の中央にくびれが生じて分割される。
    1. [初出の実例]「胎生期には種々複雑な細胞分裂(サイバウブンレツ)が行はれ」(出典:育児読本(1931)〈田村均〉六〇)
  3. かつて、共産党の細胞の組織員が一定数に達したとき、そこから分かれて新たな細胞組織を作ることをいった語。〔いろは引現代語大辞典(1931)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「細胞分裂」の意味・わかりやすい解説

細胞分裂 (さいぼうぶんれつ)
cell division

一つの細胞が二つの娘細胞(じようさいぼう)daughter cellに分かれることで,生殖・発生・成長・遺伝といった生物の営みの基本をなす過程。バクテリアなどの単細胞生物においては細胞分裂は自己複製すなわち増殖にほかならない。突然変異やウイルス感染などによる遺伝子の変更をうけないかぎり,みずからと同じ遺伝情報をもった二つの娘細胞に分かれていくことを繰り返す。これに対し,多細胞生物においては細胞分裂の意味は自己複製にとどまらない。多細胞生物もはじめは一つの細胞(受精卵)であるが,この細胞が分裂を繰り返し,数を増やしていくうちに細胞の分化という現象がおこる。動物を例にとれば神経細胞,筋肉細胞,血液細胞などそれぞれの特徴をもった細胞が成立していく。またあるものは生殖細胞となり次の世代のはじめの細胞となる。

 体細胞の染色体数は生殖細胞の2倍になっている(体細胞=2n,生殖細胞=n)。それは卵と精子からそれぞれ1組の染色体をうけつぐからである。したがって動物の生殖細胞(卵・精子)および高等植物などで胞子ができる過程では染色体数を半減させる段階がなければならない。この染色体数の半減を伴う分裂は生殖細胞または胞子ができる最後の2回の分裂でみられ,とくに減数分裂と呼ばれている。

 細胞分裂は核分裂karyokinesis(またはmitosis)と細胞質分裂cytokinesisの二つの過程からなっている。細胞分裂に先立ち細胞は遺伝子であるDNAの複製を行い,遺伝情報を倍加した状態になる。細胞の分裂期において,それまで染色質(クロマチン)の形で分散していたDNAは,ある種のタンパク質と緊密に凝縮して染色体という形をとる。これらの染色体が分裂装置と呼ばれる構造によって2組に分かれてのち,やがて染色体は元のように拡散して再び染色質となる。一つの核がこのように二つの娘核になることを核分裂という。核分裂は従来,染色体や紡錘体のような糸状構造が現れる有糸分裂mitosisと,明確な形態変化が現れないまま核が二つにくびれる無糸分裂amitosisに分けられていたが,現在では後者は原核細胞では正常な分裂だが,真核細胞では病的細胞における退行的現象とみなされるようになっている。核分裂に引き続いて細胞質もそれぞれの核を含んで分かれる。これが細胞質分裂である。

分裂増殖している細胞には細胞周期がある。すなわちDNA合成期のS期と分裂期のM期,それにM期からS期までのG1期,S期とM期の間のG2期である。分裂期以外をまとめて間期ともいう(図2)。

 分裂期が最後まで進むにはそのために必要なタンパク質やRNAがG2期から分裂前期までに合成されていることが必要で,たとえば分裂装置の構成や染色体の凝集に必要なタンパク質などがそれに当たる。細胞分裂は先に述べたように核分裂と細胞質分裂という二つの過程からなるが,この二つは独立のもので,核分裂のみが起きて細胞質分裂が起きずに多核細胞となるものがあるし,その逆の場合もある。分裂期は前期・中期・後期・終期に分けられる。それぞれの時期に核と染色体にどういう現象が起こるかを図1に示した。

染色体分離が起きるときにみられる星状体・紡錘体・染色体などの構造をひっくるめて分裂装置という。偏光顕微鏡ではそこに複屈折がみられる。分裂装置は1952年にメージアD.Maziaと団勝磨によってウニ卵から単離され,分裂期に構造として存在することが確かめられた。星状体・紡錘体は二つの中心体から放射状に出た微小管からできている。紡錘体の微小管には両中心体を結んでいるものと,染色体上の動原体と一方の中心体を結ぶものの2種類あるといわれている。微小管の本数は細胞によってさまざまで,酵母(菌)Saccharomycesでは50本以下,ヒガンバナ科のマユハケオモトHaemanthus albiflos Jacq.では数千本である。

 蛍光抗体法による研究では分裂装置にアクチン繊維があるとの報告もあるが,分裂装置の複屈折は微小管のみで説明できるといわれている。後期の染色体運動とともに両極間の距離も増していくが,染色体の極への移動(後期Aと呼ばれる)と極の分離すなわち紡錘体の伸長(後期B)は独立の現象とみられる。

 染色体が両極に分かれていく運動の機構については諸説があるが,まだ確定していない。現在,細胞運動に関与している系としては筋肉にみられるアクチン-ミオシン系と繊毛や鞭毛にみられるチューブリン-ダイニン系の二つがおもなものとされているが,染色体分離についてもこの両説がある。微小管説にも微小管の極での脱重合によるとするものと,極からの微小管と染色体からの微小管の相互作用によるとの説などがある。

 染色体運動の力は動原体付近で発生しているらしく,この考えはおもにレーザー光や微細な針や管で分裂装置の一部を壊したり吸いとったりする顕微操作実験の結果によるものである。微小管の脱重合だけでは染色体運動の力が発生しないとする研究者も多い。また微小管間の相互作用によるという説は,2種類の微小管の方向性は逆でそのあいだにATPアーゼが構造として存在するという仮定にもとづいている。分裂装置にダイニン様のATPアーゼが存在することは認められているが,微小管の極性については極からのものと動原体からのものが逆であるかどうかについては肯定する報告と否定する報告があり,はっきりしない。

 染色体運動についてアクチン-ミオシン相互作用説をとると,微小管は骨格として働いていることになる。ただ非筋肉細胞にミオシンが存在することは認められているものの,分裂装置に局在しているという証拠はない。また生きたヒトデ卵への抗体の注射実験で,染色体分離は抗ミオシン抗体によっては抑えられないとの結果があるのも,この説に不利な証拠である。

 界面活性剤を使って単離した分裂装置にATPを加えると染色体運動がみられ,それは抗ミオシン抗体によって影響をうけず抗ダイニン抗体によって止まるという報告もある。生細胞の分裂装置中には膜からなる小胞があり,そこにはCa2⁺-ATPアーゼがあることがわかっている。これらの膜系は界面活性剤で失われてしまうものであるから,これらが染色体運動の制御に効いているという可能性も考えられる。

核分裂に引き続いて細胞質分裂が起きるが,その様式は細胞壁のある植物とない動物とで異なる。植物では分裂後期に紡錘体の赤道面に隔膜形成体があらわれ,やがて終期には細胞板と呼ばれる構造により細胞質が二つに分けられる。この細胞板をはさんで細胞壁がつくられていく。これに対し,動物では分裂後期から終期にかけて分裂装置の赤道面上に分裂溝ができ細胞がくびれ始める。分裂溝の下には繊維構造が観察され,これは収縮環contractile ringと呼ばれている。収縮環の径はしだいに小さくなっていき,細胞を二つにくびりきる。

 収縮環がアクチン繊維であることは1971年にペリーM.M.Perryらによって,ミオシン分子がアクチン繊維に特異的に方向性をもって配向する現象を利用して証明されたが,収縮環の単離はまだなされていない。細胞質分裂は前述の生細胞への抗体注入実験において抗ミオシン抗体によって抑えられることから,収縮環上のアクチンとミオシンの相互作用の結果起きるものと考えられている。

 以上のように染色体運動はおもに微小管からなる分裂装置が,また細胞のくびれはアクチン繊維からなる収縮環が担っているらしいことはわかった。しかしどういう合図で始まりどういう機構で運動が起こるのかはわかっていない。また分裂期にのみなぜこのような構造ができるのか,核分裂のあと引き続いて細胞質分裂が起きるのはなぜか,収縮環はなぜ分裂装置の赤道面上にできるのかなどわかっていないことは多い。分裂装置の微小管は細胞質のチューブリンと動的平衡状態にあり,したがって分裂装置も動的な構造であることは確かである。染色体運動の微小管脱重合説もこのようなところから生まれた。このようなことに関連して最近はアクチンやチューブリンの重合・脱重合を調節するタンパク質についての研究がさかんに行われている。

一般的にいって分化した細胞はほとんど分裂しない(ただし細胞を培養系に移したときは別で分裂するようになる)。筋肉を例にとれば,筋原細胞は分裂を繰り返す予定筋芽細胞から分裂を停止して筋芽細胞となってから収縮タンパク質を合成し,細胞内に筋原繊維をつくっていく。その後細胞は融合し多核細胞となる。これ以降分裂することはない。腎臓,肝臓などの一部が失われたとき,これらの組織は分裂するが,この分裂は失われた細胞の分を補うというだけで元の組織の大きさになると分裂は止まる。これらの細胞はG1期で細胞周期よりはずれる。これをG0の状態と呼んでいる。これに対して分化した細胞が癌化して分裂増殖を繰り返す場合はG0から再びG1期にはいり次の段階に進んでしまう。またその細胞の特異的機能は低下する。

 植物細胞では分化した組織から一つの細胞をとって,成長ホルモンの存在下で培養するとカルスをつくることに成功している。そしてカルスを成長ホルモンなしの培地に移すことによって,元の完全な植物体に分化させることができる。動物細胞においては分化の前に分裂がみられる。例えば培養した網膜色素細胞がレンズ細胞に転換する前には必ず分裂がみられる。しかし分化にとって分裂が必須のものであるかどうかははっきりしない。

分裂を繰り返すうち分化した細胞ははたして初め持っていたすべての遺伝子を保持しているのか,あるいは分裂に伴い遺伝子の放棄を行っているのかという問題は発生学の古くからのテーマで,調節卵とモザイク卵をめぐる論争もその一例である。植物では分化した細胞からカルスを経てクローン植物ができることから細胞の全能性が確かめられている。一部の昆虫の体細胞の分裂では染色体の削減がみられる場合があるが,一般的には動物細胞にも全能性のあることが1968年のJ.B.ガードンの実験で証明された。ガードンはカエルの卵から核を除き,それにオタマジャクシの小腸上皮細胞からとった核を入れて,それが成体にまで発生することを示した。また近年では哺乳類でも同様の実験が成功している。

 これに対して利根川進らはある抗原に対する抗体を産生するように分裂・分化したリンパ球細胞は免疫グロブリン分子の可変部分に対する遺伝子DNAに関して,脱落や組換えを起こしていることを示し,大きな論議を呼んでいる。

生物には老化ののち個体としての死がまちうけているが,それと同時に生殖細胞をつくることによって世代の若返りを行っている。一般に生物では,減数分裂を通じて形成される生殖細胞が次代の初めになるわけで,ここで若返りが起こっている。なぜ生殖細胞だけが若返ることができるのか,確かなことはわかっていないが,これも分裂と関係があると思われる。

 一方,細胞の老化の前には分裂の停止がある。分裂しなくなった細胞は多くG1期の初めからG0にはいって停止しており,そこから分化を続けて死に至ることから,細胞の老化はG1期で始まると考えられる。

細胞には体細胞と生殖細胞とがあり,生殖細胞によってその生物のもつ遺伝情報の継続が約束され,世代の若返りが可能になる。生殖細胞の元になる細胞は始原生殖細胞と呼ばれ,発生の早い時期から他の組織細胞と区別されるような形態的特徴をもっている。これらは生殖巣の原基に入りこみ,やがて卵原細胞または精原細胞となる。これらが生殖巣内で普通の細胞分裂を繰り返して卵母細胞・精母細胞となるが,ここで分裂を停止して成長期にはいる。次の最後の2回の分裂が染色体数を半減する減数分裂で,成熟分裂とも呼ばれる。

 第1減数分裂に引き続きDNA合成なしに第2減数分裂が起き,染色体数は2nからnになる。精母細胞の場合は一つの精母細胞から四つの精(子)細胞になるが,卵母細胞においては減数分裂は不等分裂で第1分裂で極体と呼ばれる小さな細胞を放出し,第2分裂でもう一つ極体を出す。したがって一つの卵母細胞から一つの卵しかできない。精子の場合にはこのあと精子完成(変態)過程により精子の形を整える。体細胞分裂の停止から減数分裂への転換はいわば減数分裂細胞への分化といえるが,その機構はわかっていない。

 動物では減数分裂はすなわち生殖細胞形成であるが,植物の減数分裂はそうとは限らない。一般的にいえば胞子形成過程の最後に減数分裂が行われる。下等な真核細胞では環境条件が悪くなると胞子を形成することがあるが,それに先立ち減数分裂をするわけである。胞子は発育して配偶体となりそこから配偶子が形成され,これが受精を行う。

 減数分裂のみにみられる特徴として第1分裂での遺伝子の組換えがある。第1減数分裂前期に父方からと母方からの相同染色体が対合し接着する。こののち相同染色体の一部が交叉して遺伝子の組換えを行うことがある。これによって配偶子の遺伝的な多様性が増大し,環境への適応力を高めることになる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞分裂」の意味・わかりやすい解説

細胞分裂
さいぼうぶんれつ

1個の細胞が二つの同じまたは異なった大きさの細胞に分かれる現象であるが、まれには昆虫卵の表割のように多くの細胞を一時に生じることもある。普通、核分裂が細胞質分裂に先行しておこり、この核分裂はほとんどの場合有糸分裂による。有糸分裂は核内容とくに染色体の分配のために重要な仕組みで、体細胞分裂と、生殖細胞形成時の減数分裂の両方にみられる。体細胞分裂の核分裂は、前期(染色質が凝集して染色体となり核膜が見えなくなる)、前中期(染色体が細胞の中央部に集まってくる)、中期(染色体が赤道面に配列される)、後期(染色体が左右の極に移動する)、終期(両極で染色体が休止核に戻る)に分けられる。減数分裂では、これらに先だって異型核分裂である第1分裂が存在する。分裂から次の分裂までの間を間期または休止期というが、この期間は細胞内の物質代謝や高分子合成はむしろ盛んで、DNAなどの染色体物質の複製はこの時期におこる。また細胞質も普通は間期に2倍の大きさになるが、受精卵の細胞分裂である卵割のように、細胞が成長せず、分裂によって細胞の大きさが小さくなっていく場合もある。まれには核膜が消失せず、染色体の分裂のみがおこり、染色体が倍加するが核分裂、細胞質分裂に至らないことがあり、これを核内有糸分裂といい、双翅(そうし)類の唾腺(だせん)染色体が巨大化するのはこの現象によるが、そのほか動物の肝臓や気管、植物のカルス、虫こぶなどの細胞でおこることがある。細胞にコルヒチンを与えると、核分裂は中期で停止する。

 有糸分裂によって染色体が二つの核に分けられたのちに、通常、細胞質分裂がおこる。動物の細胞質分裂の機構はウニの卵や培養細胞などを用いて詳しく研究されている。以前は細胞中央部にある分裂装置が分裂の原動力となっていると考えられていたが、コルヒチンや物理的な力によって分裂装置を除いても分裂がおこることなどから、現在では細胞表層が重要であると考えられている。筋収縮におけるアクチンと同じように、細胞質分裂で主要な役目を果たすタンパク質はチューブリンと名づけられており、コルヒチンと結合性がある。繊毛運動もこのチューブリンによっておこることが知られており、細胞質分裂と繊毛運動とは同じ種類の細胞運動であると考えられる。動物の細胞質分裂は二つの娘(じょう)細胞がちぎれるようになるが、植物細胞では周囲に細胞壁があるので細胞の外形はほとんど変わらず、二つの娘細胞の間に新しい細胞壁がつくられることによって分裂が完了する。

[大岡 宏]

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百科事典マイペディア 「細胞分裂」の意味・わかりやすい解説

細胞分裂【さいぼうぶんれつ】

細胞が分かれて新しい2個以上の細胞になること。もとの細胞を母細胞,新しい細胞を娘(じょう)細胞という。核がまず分裂し,普通は続いて細胞質が分裂する。核分裂は分裂の際に紡錘糸や染色体等の糸状構造が現れるかどうかにより,無糸分裂(直接分裂)と有糸分裂(間接分裂)とに分けられる。無糸分裂は老化した細胞,病気の細胞などでみられる特殊な分裂(ただし原核細胞では正常な分裂)で,核の内部に変化が起こらず,そのままくびり切れて2個の娘核になる。有糸分裂は普通の細胞で行われ,体細胞でみられる体細胞分裂と生殖細胞形成時の減数分裂とに分けられる。体細胞分裂はおのおのの染色体が縦裂して初めと同じ染色体組が娘核に配分されるのを特徴とする。細胞質の分裂は植物と動物では異なり,植物細胞では分かれた娘核の間に形成される細胞板によって細胞質は2分され,動物細胞では中央部の外側からくびれて分かれる。以上のような形態学的分裂の始まる以前に,染色体構成物質(特にDNAやヒストン),RNA,タンパク質などの合成が進行する。
→関連項目核型中心体直接分裂DNAフレミング

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細胞分裂」の意味・わかりやすい解説

細胞分裂
さいぼうぶんれつ
cell division

1個の細胞が2個以上の細胞に分れる現象。細胞分裂は,初め核分裂が起り,続いて細胞質分裂によって完了する。多核細胞は細胞質分裂を伴わなかった結果である。核分裂は普通,染色体の変化,紡錘糸の出現など複雑な有糸分裂を経て行われ,染色体の分裂に伴い遺伝子が2分される。細胞質分裂は細胞板形成 (植物) やくびれ (動物) によって行われ,色素体,ミトコンドリアなども両娘細胞に分配される。分裂を誘起する引き金は,核と細胞質の比の変化,トラウマチンやカイネチンなどのホルモンによるという説があり,また染色体が両極に移動して両娘細胞に入る機構については,紡錘糸と,その両極での集中部位である動原体が重視されている。

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知恵蔵 「細胞分裂」の解説

細胞分裂

1個の細胞が2個の細胞に分かれること。ふつう細胞周期と呼ばれる一連の過程からなる。まずG(1)期でDNA合成の準備に入り、続くS期でDNA合成が起こってDNA量が倍加し、G(2)と呼ばれる準備期間を経てM期に入り、そこで染色体の凝縮、核膜の崩壊、分裂装置の形成、染色体の分配(核分裂)、細胞質分裂が順次起こり、細胞分裂が完了すると、新しくできた娘(じょう)細胞は再びG(1)期に戻るが、そのまま細胞分裂を続けない時にはG(0)期となって細胞周期を離脱する。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

栄養・生化学辞典 「細胞分裂」の解説

細胞分裂

 細胞が分裂して増殖すること.

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