ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差別原価」の意味・わかりやすい解説 差別原価さべつげんかdifferential cost 特殊原価調査において用いられる特殊原価概念の一つで,その代表的なもの。操業度の変化,製造方法の変化あるいは設備の増加,減少などによる総原価の増減分,または原価要素の増減分をさす。操業度の変化による総原価の増減分は特に限界原価と呼ばれることがある。また生産量の増大に伴って増加するケースを増分原価,生産量の低下による減少を減少原価ということもある。差別原価は特に価格政策および利益計画の設定にあたり適用されることが多く,たとえば操業度の増加に応じて増加する原価を把握することは,その操業度増加の原因となる製品の追加受注の価格の採算点の認識に役立つ。つまり追加受注品の価格は差別原価を上回るかぎり企業利益を増加させる。通常の製品価格が固定費をすべて回収する範囲に定められるのに比べて,それは対照的で価格レベルも一般にかなり低い。差別価格の理論的背景もここにあり,国際的にはダンピング問題となる。なお差別原価は一般には変動費であるが,必ずしも固定費を完全に排除するものとはかぎらない。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by