引下(読み)ひきさがる

精選版 日本国語大辞典 「引下」の意味・読み・例文・類語

ひき‐さが・る【引下】

〘自ラ五(四)〙
① その場を去って離れる。また、後へ引いてさがる。後退する。引き退く。さがる。くだる。しさる。
※とりかへばや(12C後)下「かんのきみはすこしひきさがりて」
自分の間違い、負けなどを認めて、主張をひっこめる。また、手を引く。
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉八「何時もなら、〈略〉おれが間違ってたと恐れ入って引きさがるのだけれども」
③ おくれる。あとにつく。
平家(13C前)一一「すこしひきさがて、兵五六十騎が程河原へうちいでたり」

ひき‐さげ【引下】

〘名〙
① ひいてさげること。ひきおろすこと。ひきさげること。「米価の引下げ」 〔五国対照兵語字書(1881)〕
② のぼせを下げるためにすえる灸。
※歌舞伎・船打込橋間白浪(鋳掛松)(1866)三幕「逆上(のぼせ)のせゐか此の頃は眼がかすんでなりませぬから、引下(ヒキサ)げをすゑますが」
③ 「ひきさげづとめ(引下勤)」の略。〔明良帯録(1814)〕

ひき‐おろ・す【引下】

〘他サ五(四)〙
① 人・物などを引っぱって高いところから下へおろす。
蜻蛉(974頃)中「馬ども、浦にひきおろして、ひやしなどして」
期日時間などを後に延ばしてもってくる。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉中「昔は二月・三月中に、行ひしあれど、〈略〉陽暦の今日となりては、何れも暖き頃に引下(ヒキオロ)しぬ」

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