心強(読み)こころづよい

精選版 日本国語大辞典 「心強」の意味・読み・例文・類語

こころ‐づよ・い【心強】

〘形口〙 こころづよ・し 〘形ク〙
意志が堅い。我慢強い。気持が張りつめている。気強い。
源氏(1001‐14頃)桐壺「うへは、御息所の見ましかばとおぼしいづるに、堪へがたきを、心づよく念じかへさせ給ふ」
人情に乏しい。情にほだされない。つれない。
※竹取(9C末‐10C初)「宮仕へ仕うまつらず成りぬるも〈略〉心得ず思しめされつらめども、心つよく承らずなりにし事」
地獄の花(1902)〈永井荷風〉一〇「あなたは恋に冷淡です、余りに心強ひと思ひます」
③ 頼れる人、ものがあって心丈夫である。安心である。頼もしい。気強い。
落窪(10C後)一「わが君、心づよくおぼしなぐさめよ。もろともにだにこめなん」
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)初「心利たる供の男を五人撰み、〈略〉宿次の人足を雇ひ、実(げ)に大丈夫に心強き旅の空」
[語誌]類義語に「こころごわし」があるが、「こころごわし」が「あくまでも抵抗し、言うことを聞かない」という意を示し、主観的で否定的評価に傾くのに対し、「こころづよし」は「意志が強い。気丈である」さまを客観的に示す。しかし時代が下ると、主観的・情意的意味が中心的なものとなり、現代語では③の「安心だ。頼もしい」という用法に限定して用いられる。
こころづよ‐が・る
〘自ラ四〙
こころづよ‐げ
〘形動〙
こころづよ‐さ
〘名〙

こころ‐づよ【心強】

(形容詞「こころづよい」の語幹) 強情なさま。不人情であるさま。感動表現に用いる。
※延慶本平家(1309‐10)五本「穴心つよの人の心や、所労あらばかうこそあれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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