デジタル大辞泉 「形容詞」の意味・読み・例文・類語
けいよう‐し【形容詞】
2 広く、物事の性質や状態を表す言葉。品詞論の「形容詞」に限らない。「保守的というのが彼らに冠せられる
[類語]品詞・体言・用言・名詞・代名詞・動詞・形容動詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞・助詞・助動詞
品詞の一つ。日本語の形容詞はその活用語尾によって明確に認定できる。活用の体系は動詞と同じであるが、口語では命令形を欠く。
文語の「正し」は終止形では表面上語尾を欠いている。これは本来ならば「正しし」となるところであるが、「し」が重なるので重音脱落haplologyの現象をおこして、「正し」となったものと考えられる。一般の学校文法などでは、語幹を「ただ」とし、「し」を語尾に回して「しく」「しから」「しく」「しかり」「し」「しき」「しかる」「しけれ」「しかれ」とし、結果として、「寒く」などの「ク活用」と、「正しく」などの「シク活用」の2種類の活用を認めることになっている。これはいつに終止形でゼロ語尾になることを避けたためであるが、体系的に考えるなら のようにゼロ語尾を認めるほうがよい。英語のsheepなどの複数形にゼロ語尾を認めるのと同じ考え方である。口語、文語を通じて、語幹末に「し」をもつ形容詞には「うれしい」「たのしい」「かなしい」「こいしい」「なつかしい」「さびしい」「うらめしい」「うらやましい」「おそろしい」「うとましい」などの情緒を表す語が比較的に多い。「うつくしい」は、現在は客観的状態を表すが、奈良時代には親が子を慈しむ感情を表していたものである。
日本語の形容詞は、他の言語に比べて数が少なく、それを補う形で連体詞(「この」「いわゆる」「とんだ」「単なる」など)、動詞の連体形、形容動詞が用いられる。形容動詞の語幹はおもに漢語、外来語であり、いまでも生産的で、新しい語が自由につくられる。数は多くないが、形容詞派生語尾による語もある。「っぽい」「がましい」「じみた」「めいた」「っこい」「たらしい」「らしい」「的(な)」などである。
日本語の形容詞は、名詞を修飾するのみならず、そのままの形で述語となりうるが、西欧諸言語では、述語として用いるためには繋辞(けいじ)(英語ではbe動詞)が必要である。また日本語の形容詞は連用形の「く形」が副詞としても用いられる。日本語の形容詞はその活用によって、品詞認定が明瞭(めいりょう)に行われるが、英語などでは意味、語形、位置のどれ一つをとっても、明瞭な認定基準となりえず、総合的な判断によらなければならず、それでも境界線上の例が出てくる。
英語を例にとってみると、形容詞は位置がいろいろと問題になる。多くは連体的にも述語的にも用いられるが、一部の形容詞は連体的にだけ用いられ(mere, utter, former, latterなど)、一部は述語的にだけ用いられる(asleep, awareなど)。一部は両用法の間で意味が異なる。たとえばpresentは、連体的には「現在の」、述語的には「出席している」である。また、二つ以上の形容詞が一つの名詞の前に用いられるとき、その配列順序にある種の制約があることがある。
[国広哲弥]
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… 文構成のきまりを記述するためには,その最小単位を確定し,次にそれの種類分け(品詞分類)をすることから始めなければならないが,日本語は,朝鮮語など他のいわゆる膠着語と同じく,単位と単位の間や品詞相互の間の連続性が強いということが,英語などの西洋語や,中国語との違いとしてまずあげられるだろう。
[品詞]
実質語の代表は名詞,形容詞,動詞で,これは多くの言語と共通するが,日本語の形容詞は動詞と原理的には同じように活用する点で朝鮮語と相似し,英語など西洋語とは異なる。学校文法で形容動詞と呼ばれる〈元気,親切,静か〉などの語類は,名詞と形容詞の中間的な性格をもっている。…
…その詳しい議論は省略するとして,もしそれだけで発話されることはまずないがある程度以上独立的であるものを単語とすると,そのような単語は当然なんらかの品詞に所属していることになるが,一般に,それぞれの品詞に所属するそうした単語の数は,それぞれにつき少数で,かつ,下位範疇にさらに分かれている傾向が強い。(5)言語によっては,ある品詞に属する単語がある種の音形上の特徴を有することがある(たとえば,日本語の形容詞(終止形)は〈イ〉で終わる)。ただし,これはあらゆる場合にそうであるというわけでない。…
…日本語の動詞,形容詞,形容動詞の3品詞,すなわち活用ある自立語の総称。何らかの物事を題にしての叙述にあずかり(述語),またその叙述をもって事物の限定にあずかる(連体)。…
※「形容詞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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