知恵蔵 「春風亭昇太」の解説
春風亭昇太
2人兄弟の二男で、子どもの頃からお笑い好きだった。兄は落語好きだったが、本人は興味がなく、中学時代はブラスバンド部、高校時代はソフトボール部に所属した。1978年に東海大学に入学し、たまたま出会った落語研究部の先輩らのおもしろさに引かれて入部する。着物で高座に上がって話をした際の観客に受ける快感や楽しさから落語にのめり込んで実力を伸ばし、2年の時には学生落語の全国大会で優勝した。
大学を中退して82年、春風亭柳昇に入門する。8番目の弟子だったため前座名は昇八(しょうはち)となった。86年に二ツ目に昇進し、春風亭昇太と改名する。通常は二ツ目で約10年修行するが、92年、二ツ目から6年で真打ちに昇進した。真打ちになってからは、テレビやラジオ、舞台演劇などへ活動の場を広げ、ラジオ番組「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)のパーソナリティー(2005~06年)を務めたほか、テレビドラマ「軍師官兵衛」(NHK、14年)や「下町ロケット」(TBS系列、15年)などに俳優として出演した。ミュージシャンの細野晴臣とのライブ、俳優の六角精児らとの音楽劇など、ジャンルを超えた交流にも、意欲的に取り組んでいる。その一方で、2003年に所属の異なる若手と創作話芸の会SWA(すわっ)をスタートさせるなど(SWAは11年末で活動休止)、新作落語やネタの研究に励む。
06年に大喜利メンバーとなった笑点は、銀鼠(ぎんねず)色の着物で臨み、「独身キャラ」で人気を博している。若手大喜利での安定した司会ぶりや若さ、好感度の高さなどが評価され、6代目司会者に選ばれた。初めて司会として臨んだ16年5月29日の放送は平均視聴率が28.1%(関東地区)と、番組が現在の時間帯になった1996年以来歴代最高となり、2回目の6月5日も同22.8%(関東地区)の高視聴率を記録した。なお、大喜利メンバーの後任には、林家三平が就任している。
城巡りや眼鏡収集、クラシックカー、トロンボーンなど多趣味なことでも知られており、中学時代から熱中している城巡りでは、著書『城あるきのススメ』(小学館)がある。
(南 文枝 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報