知恵蔵の解説
東京箱根間往復大学駅伝競走
前年大会でシード権を獲得した10校と、予選会を通過した大学、関東学連選抜チームを加えた合計20チームが出場し、東京の読売新聞東京本社前から箱根の芦ノ湖(あしのこ)まで、往路5区間(108.0km)、復路5区間(109.9km)の合計10区間(217.9km)で競う。
出雲(いずも)駅伝、全日本大学駅伝とともに大学三大駅伝の一つと呼ばれる。2010年度はいずれも早稲田大学が優勝し史上3校目の大学駅伝3冠を達成した。箱根駅伝の出場校は関東学生陸上競技連盟に加盟している大学に限られるため、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨以外の大学には3冠のチャンスはない。
箱根駅伝が誕生したのは、1920年。マラソンの父と呼ばれる金栗四三らが、オリンピックで通用するランナーを育成するには駅伝大会が必要だと考え、大学や師範学校、専門学校に参加を呼びかけ、交通の便が良く箱根の山を登る「東京~箱根間ルート」を設定した。しかし、第1回大会では10人の選手を出場させられる学校が少なく、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、東京高等師範学校の4校で「四大校駅伝競走」として開催された。なお、現在、大会最優秀選手には金栗四三の名を記した「金栗杯」が授与されている。
コースは、各校のエースが争う長い上り坂の「華の2区」、箱根への高低差800m以上に及ぶ山登り・下りの5区・6区など変化に富んでおり、スペシャリストが活躍する場面が多い。
歴代優勝回数は、中央大学14回、早稲田大学13回、日本大学12回、順天堂大学11回の順。また、箱根駅伝出身者には、瀬古利彦(早稲田大学)、谷口浩美(日本体育大学)、尾方剛(山梨学院大学)、諏訪利成(東海大学)など、その後、世界選手権やオリンピックで活躍した選手も多い。
(葛西奈津子 フリーランスライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報