日本大百科全書(ニッポニカ) 「枯れすすき」の意味・わかりやすい解説
枯れすすき
かれすすき
流行歌の曲名。野口雨情(うじょう)作詞、中山晋平(しんぺい)作曲。1919年(大正8)楽譜出版。演歌師が歌い始めたが、22年のレコード化(第一号は京都・東洋蓄音器か)によって流行の端緒が開ける。そこで松竹蒲田(かまた)撮影所は、伊藤大輔(だいすけ)脚本、池田義信(よしのぶ)監督により、この歌に基づいた映画『船頭小唄(こうた)』を製作し、23年1月、東京・麻布松竹館で封切ったところ大当り。「小唄映画」のはしりとなり、また主演女優栗島(くりしま)すみ子のレコードが10万枚以上ヒットするなど、ここに歌の流行が決定づけられた。しかし卑弱哀傷の詞曲のため、関東大震災の起こる原因になったとうわさされた。のちに『昭和枯れすすき』(1975)という作品も生まれている。
[倉田喜弘]