改訂新版 世界大百科事典 「残留側波帯変調」の意味・わかりやすい解説
残留側波帯変調 (ざんりゅうそくはたいへんちょう)
vestigial sideband modulation
VSBともいう。振幅変調の一種で,一方の側波帯の大部分ともう一方の側波帯の一部分を図のような形で伝送する方式。送信側では,振幅変調された両側波帯の信号fc±fvに,図の形の遮断特性が与えられる。この特性は,搬送波周波数fcで6dB減衰し,その両側で点対称となる形である。受信側では,残留側波帯-fvをfv側に折り返して平たんな復調出力を得る。両側波帯変調は,所要帯域幅が変調信号帯域幅の2倍となり,伝送効率が悪い。また,単側波帯変調は,変調信号の低周波分の伝送が困難である。残留側波帯変調は,両側波帯変調に比べて周波数帯域が30%から40%節約され,単側波帯変調に比べて低周波分のひずみが少なく伝送できる。さらに,ランダム雑音や過負荷によるひずみ波の発生も少ない。テレビジョン信号やファクシミリ信号は,低周波分も重要なので,この変調方式が用いられる。また,搬送ディジタル伝送の一部においても用いられている。
執筆者:田中 良明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報