朝日日本歴史人物事典 「池上五郎右衛門」の解説
池上五郎右衛門
室町時代の御大工。元亀3(1572)年,織田信長が上洛して京都屋敷を建設したとき棟梁を務めた。家伝では,先祖を北条時宗の御所大工であった宗仲とし,足利義詮のときから代々の足利将軍家の棟梁として仕えたとしている。史料上は,大永2(1522)年1月の祇園社大工職争論の一方の当事者として「御大工池上」とあるのが初現である。同年3月,御所修理料所であった丹波国瓦屋南庄内成時名の地頭職を与えられた池上与四郎盛宗は,この御大工家のひとりと考えられる。この地頭職はのちに大工池上五郎左衛門尉信忠に安堵されている。池上家は室町時代は幕府支配の番匠大工の触頭的な地位にあり,豊臣秀吉にも重んじられたが,江戸時代には中井主水の支配下に属し,御扶持人棟梁として70石の知行を受けていた。上京の南兼康町に住んでいたが,のちに聖護院村に移っている。<参考文献>笹本正治「室町幕府御大工池上家の文書について」(『信濃』43巻11号)
(永井規男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報