無冤録(読み)むえんろく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無冤録」の意味・わかりやすい解説

無冤録
むえんろく

中国の法医学書。司獄官王与が元の至大1 (1308) 年に編述したもの。中国にはすでに法医学書として,理宗が淳祐7 (1247) 年に撰述した『洗冤録』や同時代の『平冤録』があったが,日本では『無冤録』が最も読まれた。特に元文1 (1736) 年河合甚兵衛がこれを抄訳して『無冤録述』を著わし,これが明和5 (68) 年に刊行されて以来,1901年頃まで再三増刊され,死体検案など実地面の指南書として広く活用された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の無冤録の言及

【洗冤集録】より

…宋慈は広東,湖南などの提刑(法務官)を歴任,無法を是正するため本書を著した。のち元代の《無冤録》(王与,1308刊)はじめ同類の書が出,朝鮮,日本にも伝わった。《洗冤集録》は,18世紀末以降,オランダ,ドイツ,フランス,イギリスの4ヵ国語に翻訳されたが,日本語に翻訳されたのは1877年で,《検屍考》と題された。…

※「無冤録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む