日本大百科全書(ニッポニカ) 「疣取地蔵尊」の意味・わかりやすい解説
疣取地蔵尊
いぼとりじぞうそん
疣地蔵ともいう。祈れば疣がとれると信仰されている地蔵。新潟県上越(じょうえつ)市名立(なだち)区の六地蔵は、その花立てにたまる水をだれにも知られぬようにつけると効果があると伝える。東京都牛込の筑土(つくど)神社境内の地蔵は、7日の願でかならずとれるという。この類(たぐい)の伝説は非常に多く、地蔵に限らず「疣石」などと称して、その石でこするとか、石のたまり水をつけると治るとするのが多い。疣の医療は、美容以外にさほど健康にも関係なかったせいか、民間療法(とくに俗信)が多く、心意伝承を知る一つの手掛りになる。盆のオガラでなでるといった類もあるし、「いぼ橋渡れ」といった呪言(じゅごん)を唱えるというものもある。
[渡邊昭五]
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