稲田氏(読み)いなだうじ

改訂新版 世界大百科事典 「稲田氏」の意味・わかりやすい解説

稲田氏 (いなだうじ)

近世武家。徳島藩筆頭家老で淡路洲本城代。初代稲田稙元は1585年(天正13)蜂須賀家政の阿波入部に随伴し,脇城に入り,2代示稙(しげたね)のとき1631年(寛永8)洲本城代を兼ね1万4000石余を給された。3代稙次から代々〈九郎兵衛〉を襲名した。16代稙誠(たねのぶ)は淡路海防に尽力し,私校益習館から勤皇志士を輩出させ,子邦稙は討幕派として活躍した。1870年(明治3)の庚午事変後北海道に移住した。
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世界大百科事典(旧版)内の稲田氏の言及

【淡路国】より

…31年(寛永8)藩主忠英は藩政機構の整備をはかり,筆頭家老の稲田示稙(しげたね)を洲本城代として淡路に配置。以降淡路の仕置には廃藩置県にいたるまで稲田氏が当たった。1782年(天明2)役人と富商が結託した不正,専売制の悪用が三原郡北東部を中心とした12ヵ村による一揆(縄騒動)を引き起こした。…

【徳島藩】より

…69年(明治2)14代藩主茂韶が版籍を奉還し藩知事となった。このとき家老稲田氏の家臣が淡路の分離独立を求めたため,徳島から家臣が襲撃する事件(庚午事変)が起こり,淡路が徳島県から分離され,兵庫県に帰属する遠因をつくった。後に稲田氏の家臣の多くは北海道に移住した。…

※「稲田氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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