改訂新版 世界大百科事典 「糖蜜税法」の意味・わかりやすい解説
糖蜜税法 (とうみつぜいほう)
Molasses Act
イギリス領西インド諸島のサトウキビ農園主保護のため,1733年12月,イギリス議会が制定した法律。同法は外国領から北アメリカ植民地に輸入される砂糖112ポンドにつき5シリング,糖みつ1ガロンにつき6ペンス,ラム酒1ガロンにつき9ペンスの禁止的高関税を課した。これに対してアメリカ植民地人は外国領産の安いこれらの品を密輸入し,砂糖と糖みつをラム酒に加工し,インディアンとの毛皮取引や奴隷貿易に用い,その利益で本国製造品を輸入した。税関吏は,いわゆる〈有益な怠慢salutary neglect〉によって,密貿易をおおめに見過ごしてきたので,同法に対する不満は和らげられていた。
→砂糖税法
執筆者:武則 忠見
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報