改訂新版 世界大百科事典 「砂糖税法」の意味・わかりやすい解説
砂糖税法 (さとうぜいほう)
Sugar Act
アメリカ駐屯軍費の一部を植民地人に負担させるため,糖蜜税法(1733)改訂の形で1764年4月イギリス議会で制定された歳入法。砂糖条令ともいう。外国産糖蜜1ガロンにつき6ペンスの関税を3ペンス(1766年には1ペンス)に引き下げて密貿易を防ぐ一方,外国産精白糖とブドウ酒に禁止的高関税を課し,コーヒー,ピメントコショウ,木灰,石灰,ココナッツ,鯨鬚,生糸を〈列挙品目〉に加え,イギリス本国以外に再輸出される場合は追加輸出関税を課し,木材と鉄にはイギリスに一度陸揚げする確認書をつけさせた。また,植民地総督に密貿易取締りと関税徴収責任を負わせ,駐屯軍司令官と海軍に税関吏保護と密貿易取締りを強化させ,海事裁判所を新設して密貿易裁判を迅速厳重に行わせることにした。植民地人はこれを本国議会の歳入法だと見抜き,翌年の印紙税法とともに激しく抵抗した。印紙税法撤廃後もこの法律は独立革命まで存続し,約30万6400ポンドの税収をあげた。
執筆者:武則 忠見
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報