日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞粘菌類」の意味・わかりやすい解説
細胞粘菌類
さいぼうねんきんるい
Acrasiomycota
真核菌類に含まれる一菌門。栄養体は細胞壁のない単細胞体で、1核か、まれに少数核を含み、粘菌アメーバ、あるいは微小変形体の体制をとる。微小変形体では断片化してから、粘菌アメーバでは単独、または多数が集まり(偽(ぎ)変形体という)、これから一般に高さ0.1~2ミリメートルの子実体を形成して、先端に胞子を生ずる。栄養体は変形菌に似ているが鞭毛(べんもう)のある遊走子を生じないため、かつては変形菌類の無遊走子類とされていた。細胞粘菌類は動物類の糞(ふん)や腐植土に多く分布し、次の3綱に分けられ、それぞれ1目を含む。
(1)原生粘菌綱・原生粘菌目 粘菌アメーバは単独で、柄(え)とその先の1胞子からなる微小子実体をつくる。プロトステリウムなどが含まれる。
(2)アクラシス綱・アクラシス目 粘菌アメーバは偽変形体をつくり、その位置で、柄の先に連鎖状または塊状に胞子群をつくる。
(3)タマホコリ綱・タマホコリカビ目 偽変形体は、移動後に、柄と粘液に埋まった胞子塊からなる子実体をつくる。
[寺川博典]