網翅類(読み)もうしるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「網翅類」の意味・わかりやすい解説

網翅類
もうしるい

昆虫綱網翅目Dictyopteraの昆虫の総称。不完全変態昆虫類に属するゴキブリ類カマキリ類をあわせて一群とした分類群。この両類は現在ではそれぞれゴキブリ目Blattodeaとカマキリ目Mantodeaとして扱われているが、一括して網翅目として扱う研究者もある。カマキリ類は系統的にゴキブリ類から出現したことは間違いなく、背腹に平たい体形、左右不相称の外部生殖器、卵鞘(らんしょう)をつくるなどの共通した特徴をもつ。しかし、一方、ゴキブリ類はおもに夜行性で、形態的にはすべての肢(あし)は歩行肢となるが、カマキリ類は昼行性で、目に依存した生活形態をとり、また前肢は捕獲肢、いわゆるカマキリの鎌(かま)となっていることで大いに異なる。ゴキブリ類の起源は古く、古生代石炭紀にはすでに繁栄していたが、カマキリ類の化石は新生代に入ってからのものしか知られていない。

[山崎柄根]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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