聞合(読み)ききあわせる

精選版 日本国語大辞典 「聞合」の意味・読み・例文・類語

きき‐あわ・せる ‥あはせる【聞合】

〘他サ下一〙 ききあは・す 〘他サ下二〙
① あれこれを聞きくらべて考える。聞いたことを、すでに知っていることと比較して考える。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「犬宮のならひはへ給へらんぞいとききあはせまほしき」
② ある事を知ろうとして、いろいろと問いたずねる。問い合わせて考える。聞いて確かめる。照会する。
源氏(1001‐14頃)手習僧都にあひてこそは、たしかなる有様もききあはせなどして、ともかくもとふべかめれ」
③ 他の音や声を聞いて、それに合わせる。
※習道書(1430)「しての音声をききあはせて、調感をなし、音声を色とるべし」

きこえ‐あ・う ‥あふ【聞合】

〘他ハ四〙 (「いいあう(言合)」の謙譲語)
① (申しあげる相手を敬う) 口々に申しあげる。みなが申しあげる。
※源氏(1001‐14頃)総角「ひき動かしつばかりきこえあへるも、いと心うくうとましくて、動ぜられ給はず」
② (うわさされる人を敬う) 口々におうわさを申しあげる。貴人のうわさ話をしあう。
※源氏(1001‐14頃)若紫「老いたる尼君たちなど、〈略〉この世のものともおぼえたまはずと、きこえあへり」

きこえ‐あわ・す ‥あはす【聞合】

〘他サ下二〙 (「いいあわせる(言合)」の謙譲語)
① ご相談申しあげる。
蜻蛉(974頃)中「かく参らば、よくきこえあはせよ」
② 心の隔てなくお話を申しあげる。
※源氏(1001‐14頃)蓬生「かひなき世のものがたりをだに、えきこえあはせ給はず」

きき‐あわ・す ‥あはす【聞合】

[1] 〘他サ五(四)〙 あれこれと問い合わせて確かめる。照会する。
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「私(わちき)が種々(いろいろ)と人を頼んで聞合(キキアハ)して貰ったらネ」
[2] 〘他サ下二〙 ⇒ききあわせる(聞合)

きき‐あわせ ‥あはせ【聞合】

〘名〙 あれこれ聞いて確かめること。問い合わせ。照会。ききあわし。〔文明本節用集(室町中)〕
※人情本・明烏後正夢(1821‐24)初「彼の一軸の事に付心当りがありますゆえ聞合(キキアハセ)にやりますと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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