…以後《種蒔く人》《文芸戦線》を舞台に活発な批評活動を展開し,初期プロレタリア文学運動の理論的な指導者となった。〈`調べた’芸術〉(1925),〈自然生長と目的意識〉(1926)などの明確な論は,当時の無産者文学運動を方向づける大きな影響を与えた。評論集《解放の芸術》(1926),《転換期の文学》(1927)は,この時期の収穫である。…
… 《種蒔く人》は23年の関東大震災でつぶれたが,翌年《文芸戦線》として再出発,やがて大正末~昭和初年の革命運動の高揚に伴ってプロレタリア文学運動も活気を呈した。一方で葉山嘉樹の長編《海に生くる人々》(1926)のような傑作が刊行されるとともに(この作は日本プロレタリア文学の最初の記念碑的作品として今なお生きている),他方では青野季吉の《自然生長と目的意識》(1926)や蔵原惟人の《プロレタリア・レアリズムへの道》(1928)などの論文を通して,革命と文学との関係が問いつめられるようになった。青野のそれはレーニンの《何をなすべきか》の文学運動への適用の試みであり,蔵原のはプロレタリア文学においてのリアリズムの主体に〈党(共産党)の観点〉をすえつけようとしたものである。…
※「自然生長と目的意識」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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