文芸評論家。新潟県生れ。高田師範を経て,早大英文科卒。1915年読売新聞社入社,社会部記者となる。18年,社内上層部のシベリア出兵論に反対し辞職。以後大正日日新聞社,国際通信社などを転々とし,記者生活は23年まで続く。22年,〈心霊の滅亡〉を《新潮》に発表,評論家として世に出る。以後《種蒔く人》《文芸戦線》を舞台に活発な批評活動を展開し,初期プロレタリア文学運動の理論的な指導者となった。〈調べた′芸術〉(1925),〈自然生長と目的意識〉(1926)などの明確な論は,当時の無産者文学運動を方向づける大きな影響を与えた。評論集《解放の芸術》(1926),《転換期の文学》(1927)は,この時期の収穫である。38年治安維持法違反の嫌疑で検挙投獄,転向保釈後《文学界》の同人となる。戦後は進歩派知識人として,日本ペンクラブ副会長や文芸家協会の会長をつとめ,日中友好や文学者の権利擁護のために尽力した。
執筆者:関口 安義
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大正・昭和期の文芸評論家 日本文芸家協会会長。
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文芸評論家。明治23年2月24日新潟県佐渡に生まれる。佐渡中学時代、幸徳秋水(こうとくしゅうすい)らの著作を通して社会主義思想に傾く。早稲田(わせだ)大学英文科卒業。1922年(大正11)評論『心霊の滅亡』を書き、本格的に評論活動を展開。のち『種蒔(たねま)く人』『文芸戦線』の同人となりプロレタリア文学運動の代表的理論家として活躍。ことに『「調べた」芸術』(1925)、『自然生長と目的意識』(1926)の2論文は、プロレタリア文学とマルクス主義運動との相関、創作上の問題などに指標を与え、初期プロレタリア文学に多大な影響を与えた。この期の評論集に『解放の芸術』(1926)、『マルクス主義文学闘争』(1929)がある。1938年(昭和13)人民戦線事件による検挙を機に転向。戦後は日本ペンクラブの再建、日本文芸家協会会長就任など、幅広い進歩的良識派として活躍した。昭和36年6月23日没。評論集『文芸と社会』(1936)、回想記『文学五十年』(1957)ほか多数の著書がある。『愚者の夜』(1979)で芥川(あくたがわ)賞を受賞した青野聰(そう)はその子息。
[大塚 博]
『『青野季吉選集』(1950・河出書房)』▽『『青野季吉日記』(1964・河出書房新社)』
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…定価は50銭。第1次よりもはるかに社会主義の色彩が強く,山内房吉,青野季吉らによってプロレタリア文学の発表の場となった。27年5月から一時期江口渙,小川未明らの日本無産派文芸連盟の機関誌となり,その後山崎の自由奔放な編集で体裁を変えながら33年ころまで刊行された。…
…分裂後の社会党左派,労働組合員,文化人らによって組織された株式会社社会タイムス社の発行になり,主要株主は日教組,社会党,炭労,全逓,私鉄総連,電産,国労などであった。代表取締役編集局長に青野季吉,専務取締役に江田三郎,取締役に清水幾太郎,高野実らが就任した。サンフランシスコ講和条約成立後の大新聞の紙面構成の変質(平和主義的な主張の後退)のなかで〈平和・独立・自由を守りぬくたたかいの一翼に参加する〉を編集綱領としながら,機関紙ではなく一般大衆紙をめざし,新聞協会,共同通信にも加盟した。…
…1921年創刊の《種蒔く人》誌に結集した小牧近江らは,反軍国主義とその4年前に実現したロシア革命の擁護ということを掲げて,広く進歩的な思想家,作家たちに結集を訴え,明治・大正以来の社会主義文学(木下尚江,石川啄木,宮島資夫(すけお),平沢計七ら)とはちがう新しい運動として出発した。第1次大戦以来のデモクラシーの潮流と,労働者階級の増大,その自覚の成長,小作争議の頻発に見られる農民の新動向などに支えられて,まず進歩派の知識人の運動として始まったのであったが,《種蒔く人》の運動がしだいに進むに伴って,労働者階級と文学の関係,解放運動と文学の役割などについて理論的な手さぐりが進行し,平林初之輔,青野季吉を中心に革命文学の主張が行われるにいたった。しかし〈革命〉ということばは当時の検閲下では禁句であり,伏字にせざるをえなかったので,革命文学という代りにプロレタリア(労働者階級,無産者)の文学ということばをもち出し,22年ころから〈プロレタリア文学〉ということばが掲げられるにいたった。…
※「青野季吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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