知恵蔵 「街コン」の解説
街コン
発祥は2004年に栃木県宇都宮市で開催された「宮コン」で、その後11年後半から全国各地に広まった。街コンという呼び方が生まれるまでは「巨大合コン」「大型合コン」などと言われていた。しかし、(株)リンクバル代表取締役CEOの吉弘和正が代表を務める団体「街コンジャパン」が、各地の街コンをプロデュースするために発足しサイトを立ち上げる際に、呼び名を統一するため「街コン」と命名した。ただし、それぞれの街コンは街コンジャパンに属する人が主催しているわけではなく、各地域が自主的に開催している。街コンジャパンのサイトでは、各地の街コン情報を集め、掲載している。
街コンは通常同性2名以上が一組となって制限時間内に開催地区の飲食店の飲み歩きや食べ歩きをしながら出会いを求めるという形式で、大規模な街コンの場合は複数の飲食店を貸し切って行うこともある。受付は各店舗で行うケースと、1カ所で行うケースがあり、行ける店舗数もイベントによって異なる。多くの場合、受付でリストバンドなどを貰い、それを参加証として入店する。年齢や参加費など参加条件は街コンによって異なるが、飲食代は参加費に含まれるので、自由にいろいろな店での飲食を楽しめるのも魅力の一つだ。
1回の開催で数百人から千人を超える参加者があるため、低迷する景気対策にもなっている。また、街コンの開催は土曜日・日曜日の午後が多く、飲食店にとってはアイドルタイムと呼ばれる来店が少ない時間帯であるため、売り上げにも貢献している。更に同じ地域内に住む人同士の出会いの機会が高くなる点も多くの人に受け入れられている理由の一つである。特に近年は少子化による若年層の人口減などで結婚に結びつくいい出会いの機会が減っていると言われるが、未婚率増加を解消する効果もある。
ただ、近年は街コンの人気をビジネスに利用する動きがあり、本来の飲食店の活性化と出会いの場をセッティングするという目的から逸脱したケースもある。そこで12年に全国街コン協議会が発足。公式サイトを通しての情報発信、SNSで非公開での情報交換、全国街サミットの開催などを通して、街コン本来の趣旨を伝えるとともに街コンのモラルの維持に努めている。12年6月現在、全国街コン協議会に加入しているのは、宇都宮市の「宮コン」、広島市の「ひろコン」、前橋市の「前コン」、新潟市の「潟コン」、福島市の「福コン」、仙台市の「せんコン」の6つ。ただ、それ以外にも、協議会に所属せず、独自に開催される街コンは多い。中でも2000人規模で開催される東京・恵比寿の「恵比コン」や、独身の20代限定という東京・渋谷の「渋谷若者コン」など特色のある街コンも増えている。
(金廻すみ子 ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報