日本大百科全書(ニッポニカ) 「雇用のミスマッチ」の意味・わかりやすい解説
雇用のミスマッチ
こようのみすまっち
企業側と求職者の間にニーズや思惑の相違があること。ミクロ経済としては、個別企業が書類選考などにより採用した社員が「事前に想像していたイメージとは違う」と判断し、すぐに退職してしまうケースや、そもそも企業側が求めている人材がみつからないケースを「雇用のミスマッチ」とよぶ。一方、マクロ経済の用法としては、業種によって人手不足が深刻であるにもかかわらず、職を求めている失業保険受給者をかならずしもそこに当てはめることができない、という意味で使われる。
2011年(平成23)の東日本大震災以降、建設現場で働く技術者や作業員は慢性的に不足し、そのことが工事の遅延、人件費の高騰要因になっている。また、都市部の介護サービス、外食産業なども慢性的に人員不足に悩まされている。他方、完全失業率は2014年3月時点で3.6%(季節調整値)、失業者は246万人にのぼる。こうした失業者が人手不足に悩む分野にシフトすれば、理論的には両者にとって利益があるはずである。しかし、採用する企業側の要望と本人の年齢や身につけたスキルが適合しないケース、給与水準で合意できないケースなどが多く、一気にシフトが進むわけではない。
[編集部]