雪山童子(読み)せっせんどうじ

精選版 日本国語大辞典 「雪山童子」の意味・読み・例文・類語

せっせん‐どうじ【雪山童子】

  1. 釈迦がその前世において、雪山で修行していた時の名。無常偈半偈の教えを聞くために身を捨てたという。雪山大士。雪童。〔観智院本三宝絵(984)上〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の雪山童子の言及

【釈迦】より

…これら釈迦をめぐる物語は広く〈仏伝文学〉と呼ばれ,日本の文学・文化史に重要な位置を占める。 日本の文学史で,最初にまとまった仏伝をのせるのは10世紀末の《三宝絵》であるが,仏として生まれる以前の本生譚が中心で,飢えた虎に自らの命を与える薩埵(さつた)王子や自らの命と引換に鬼から無常偈を教えてもらう雪山童子などの自己犠牲(利他行)の話が集められている。仏典をもとにしながら難しい漢文をはなれ,こなれた和文の表現で語られる最初の仏伝文学として注目される。…

【ジャータカ】より

…そこで特に称賛されているのは施し(布施(ふせ))と忍耐(忍辱(にんにく))で,身を捨てる自己犠牲物語が多い。たとえば,雪山童子(せつせんどうじ)が教えをまとめた詩句の後半が聞きたくて身を悪鬼に投げ出す話や,薩多太子(さつたたいし)が飢えた虎の母子に血肉を与えた話は,遠く法隆寺の玉虫厨子にも描かれている。このほか,客をもてなすために火中に身を投じた兎の話や,両眼を施して鳩を救ったシビ王の物語などもよく知られている。…

【無常】より

…後の2句はこの生滅無常への執着を滅し已れば,そこに平静なる寂滅の悟りが開かれて永遠の楽となるの意。《大般涅槃(だいはつねはん)経》によれば,雪山童子(前世における釈迦が雪山で修行していたときの名)は後の2句を得るために捨身して羅刹(らせつ)(鬼)に身を与えたというほど,貴い教えであるとする。この無常なる生滅の法を有為法(ういほう)とし,生滅を滅した法を無為法とする。…

※「雪山童子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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