露払(読み)つゆはらい

精選版 日本国語大辞典 「露払」の意味・読み・例文・類語

つゆ‐はらい ‥はらひ【露払】

〘名〙
宮中蹴鞠の会が行なわれる時、まず鞠を蹴って、懸(かかり)の木の露を払い落としたこと。また、その役の人。
※源家長日記(1216‐21頃)「御まりのたびにはまゐりて、つゆはらひの時、たちなどするほどに」
② 貴人の先導をして路を開くこと。また、転じて、行列などの先導をすること。また、その人。
読本・椿説弓張月(1807‐11)残「窣都婆(そとば)引提(ひさぐ)る紀平治が、先へは立ど逆縁の、松寿は袖の露払(ツユハラ)ひ」
③ 特に遊芸で、最初に演ずること。また、その人。
※申楽談儀(1430)勧進の舞台「つゆはらいは、其比(そのころ)、槌大夫舞し也」
④ 相撲で、横綱の土俵入りの際、横綱の前駆をつとめる力士。普通横綱と同門・同系統の関脇以下の幕内力士で、太力持ちよりも下位の力士がつとめる。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「横綱のは化粧褌の上に横綱をつけ、露払(ツユハラヒ)を先きにし、太刀持を従へ出で」
⑤ (比喩的に) 物事の先触れ。ある物事に先立っていること。また、その物や事柄。
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)一「柴口や都上りの露はらひ」

つい‐はらい ‥はらひ【露払】

〘名〙 (「つゆはらい(露払)」の変化した語) =つゆはらい(露払)③〔壒嚢鈔(1445‐46)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の露払の言及

【翁猿楽】より

…翁猿楽が鎌倉中期にその形態を整えていたことは確実で,翁猿楽の最古の記録《弘安六年春日臨時祭記》(1283)は,祭礼の行列に参加した〈猿楽〉として〈児(ちご)・翁面・三番猿楽・冠者(かじや)・父允(ちちのじよう)〉の役々と,それを担当した僧の名前をあげている。5役のうち翁面(《翁》の主役)・三番猿楽(三番叟)・父尉の3老翁による三番の舞が翁猿楽の主体であるために〈式三番〉とも呼ばれたらしいが,これに延命冠者(父尉の応対者)と児(露払役。千歳)とを加えた5人が登場するのが南北朝時代前半までの形であった。…

※「露払」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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