世界大百科事典(旧版)内のbasileusの言及
【アテネ】より
…メドンの血統をひく人々すなわちメドン家が以後,暗黒時代のアテナイを指導するが,その初期にすでに王政のあり方に重大な変化が生じていたらしい。同じく伝承によれば,このころ王権は三分されて,軍事指揮者としてのポレマルコスpolemarchos,政治の実権を握るアルコンの二つの職が設けられ,王(バシレウスbasileus)には祭祀にかかわる権限が残された。のちのアルコン職の起源をなすこの三つの役職は,当初メドン家によって占められ,任期も終身だったと伝えられるが,このような制度上の変化が,王権の縮小と在地の豪族たちの地位の向上につながったことは想像に難くない。…
【皇帝】より
…王【大庭 脩】
[ヨーロッパ]
明らかに王国の規模を超えた古代オリエント〈帝国〉の支配者の名称には,たとえば,古代ペルシア語の,xšāyaoiya xšāyaoiyānam(諸王のなかの王。たとえば,ギリシア語のbasileus,basileōn,ペルシア語のshāhānshāhに相当)のようなものがあるが,中世以来ヨーロッパで問題となる,王に優越するものとしての皇帝という名称はローマ帝国に由来する。その場合,ロマンス語およびケルト諸語ではインペラトルimperator,ゲルマン語およびバルト・スラブ語ではカエサルcaesarという,いずれもラテン語の名称が用いられている(ギリシア語については,以下の(3)参照)。…
【裁判】より
…これはこの種の争いに決着をつける裁判制度のあったことを推測させるものであるが,その内容はまったく不明である。ギリシア語で裁判はディケdikē(〈裁決〉〈正義〉の意)と呼ばれ,ホメロスでは軍事指揮者と祭祀主宰者を兼ねる王(バシレウスbasileus)が,裁判者の機能をも兼ねていた。殺人の賠償金の支払をめぐる争いを裁くため,民会agorēにおいて〈審き人istōr〉(〈知っている者〉の意)の職務を行っているのはこのような王であったにちがいない。…
※「basileus」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」