改訂新版 世界大百科事典 「ベッサリオン」の意味・わかりやすい解説
ベッサリオン
Johannes Bessarion
生没年:1403-72
東西両教会の合同に尽力した東方正教会の神学者,人文学者。ギリシア語綴りではIōannēs Bessariōn。トレビゾンド(現,トルコ領トラブゾン)出身。修道士となり,新プラトン主義哲学者G.G.プレトンに学ぶ。皇帝ヨアンネス8世によってニカエア大主教に任じられ,フェラーラ・フィレンツェ公会議(1438-39)に参加,教会合同賛成派として活躍,そのためコンスタンティノープルの教会関係者の不興を買った。しかしローマ教会からは信用され,教皇エウゲニウス4世によって枢機卿に任命された(1439)。イタリアに居を移し,教会政治にたずさわるかたわら,人文学者としてイタリア・ルネサンスにおけるギリシア古典研究の振興につくし,みずからも多数の著作のほかに,アリストテレスの《形而上学》などをラテン語に翻訳した。
執筆者:森安 達也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報