世界大百科事典(旧版)内のcomesの言及
【カロリング朝】より
…宮廷で最も活躍したのは文書局cancellariaで,この部局は国家が分裂の相を呈する中で,ルートウィヒ1世の時期には最高の王文書形式を作り上げた。 王は地方行政のために伯(コメスcomes)を各司教管区に配置したが,彼らの忠誠を確保するために,特にアウストラシア出身の王の家臣をこれにあてた。このことは,任免が自由で世襲を認めぬはずのこの職が,早くから特定家系に定着する傾向を生み,特にそれらの家系が王家と姻戚関係を持つ場合に,〈伯家系〉という有力家系に発展し,後の王家や封建諸侯の家系の祖となる。…
【グラーフ】より
…フランク王国のもっとも重要な地方官。ラテン語ではコメスcomes。その管轄領域がグラーフシャフトGrafschaft(コミタートゥスcomitatus)である。…
【爵位】より
…国と時代により差異はあるが,一般に知られている爵位は,公(デュークduke),侯(マーキスmarquis),伯(アールearl),子(バイカウントviscount),男(バロンbaron)の5位階である(かっこ内は英語)。これらのうち,公と伯の呼称が歴史的に見て最も古く,それぞれ古ゲルマンの軍事統率者であるドゥクスdux(ドイツ語はヘルツォーク,フランス語はデュクduc),フランク国王の統治権とりわけ裁判権を地方管区ごとに執行する役人としてのコメスcomes(ドイツ語はグラーフ,フランス語はコントcomte)とにさかのぼる。封建制度の発達にともなって,両者はいずれも官職的性格を失って,封建諸侯の称号となり,公は国王の直属封臣のうち最高の位を占めた。…
【従士制度】より
…古代のゲルマン人の国家(キウィタス)には,全自由人から構成される軍隊のほかに,いわば私的な軍事的主従制度があった。すなわち,自由人(若年の貴族も含まれる)が,首長や軍事能力にすぐれた者に誠実の宣誓をおこない,彼らの従士(ラテン語でcomes,ドイツ語でGefolge)となる慣行があり,この慣行を従士制度と呼ぶ。他人の従士となることはいささかも恥辱ではなく,身分の低下を伴うことはない。…
※「comes」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」