リコリス(読み)りこりす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リコリス」の意味・わかりやすい解説

リコリス
りこりす
[学] Lycoris

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ヒガンバナ属の総称。ヒガンバナ、ナツズイセンなどを含むが、園芸上でとくにリコリスと称しているものには、シロバナマンジュシャゲシロバナヒガンバナ)、キツネノカミソリショウキズイセンなどがある。葉は線形または広線形。花茎の頂部に散形花序をつくり、らっぱ形の6弁花を横向きに開く。日本、中国原産。性質はじょうぶで、野生化しているものも多い。リコリンなどのアルカロイドを含み有毒であるためか、無葉の状態で花が咲くためか、日本では縁起の悪い花として古来忌み嫌われてきたが、近年はいくつかの交雑種もつくられている。花期に葉がなく、花期後すぐに葉が出るヒガンバナ型と、翌春に葉が出るナツズイセン型に分けられる。前者を秋出葉型、後者を春出葉型ともいう。秋出葉型には以下のものがある。ヒガンバナはマンジュシャゲ(曼珠沙華)ともいい、緋紅(ひこう)色花を、シロバナヒガンバナは白色花を、ともに秋の彼岸(ひがん)ころ開く。ショウキズイセンは9~10月に鮮やかな黄色花を開く。また、春出葉型には以下のものがある。ナツズイセンは盛夏に淡紅色の大輪花を開く。キツネノカミソリは日本原産の野生植物で、7月に黄赤色花を開く。変種に、全体が一回り大きいオオキツネノカミソリがある。スプレンゲリー種L. sprengeri Comes ex Bak.は濃桃色花で、花弁の先は青色を帯びる。インカルナタ種L. incarnata Comes ex Sprengは初秋に開花し、乳白色の細弁で、紅紫色の中筋が入る。

 繁殖は分球により、7~8月、乾燥の激しくない半日陰地に植え付ける。鉢植えの場合は、6号鉢に3球程度、浅植えにする。

[平城好明 2019年3月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リコリス」の意味・わかりやすい解説

リコリス
Lycoris

ヒガンバナ科リコリス (ヒガンバナ) 属の総称。東アジアに十数種が分布する球根植物で,ヒガンバナも含まれる。線状または帯状の葉を根出し,花茎の頂部に6花被片をもつユリのような花を散形花序につける。多くはおしべとめしべが花被より長く突出する。葉は秋期出葉型と春期出葉型に分れ,秋咲きのため後者は開花時に葉がない。鮮黄色のショウキズイセンやシロバナマンジュシャゲ L.albiflora,紫桃色で弁先が青いリコリス・スプレンゲリ L.sprengeri,淡紅紫色のナツズイセンなどいずれも美しく,切り花や花壇用に利用される。日本の山野に自生するキツネノカミソリもこの仲間である。開花前の休眠期に球根を植付ける。土質はあまり選ばないが,真夏は日に当てすぎないほうがよい。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android