世界大百科事典(旧版)内のdécadenceの言及
【デカダン派】より
…〈デカダンスdécadence〉は一般に衰退,落,退廃を意味するフランス語である。本来はローマ帝国末期の文化が爛熟の極に衰退して技巧的になり,不自然,不健康,腐敗の様相をあらわしてくることを指したが,ここではパリを中心とした19世紀末の一群の芸術家たちの傾向を指す。…
【唯美主義】より
…これは唯美主義の本質をつく言葉であり,ワイルドにも,またその影響が濃厚な《禁色》の作家三島由紀夫や,同じくワイルドの《謎をもたぬスフィンクス》を種本に短編《秘密》を書いた谷崎潤一郎にも当てはまる。 19世紀以来の唯美主義は観念的美の世界と悪魔的な官能美への惑溺,すなわちデカダンスdécadenceの二極を絶えず往復しているが,これはスウィンバーンに影響を与えたフランスの文学者ゴーティエやボードレールに始まる。前者は,いわゆる〈芸術至上主義〉,すなわち〈芸術のための芸術l’art pour l’art〉(命名は1845年,V.クーザンによる)の唱道者として知られ,効用性を超越した自律的な美を主張した。…
※「décadence」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」