唯美主義(読み)ゆいびしゅぎ(英語表記)aestheticism

翻訳|aestheticism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

唯美主義
ゆいびしゅぎ
aestheticism

耽美主義ともいう。あらゆる価値のうちで美を最高のものとする世界観ないし人生観芸術のうえでは美を唯一絶対の目的として追究する態度をいう。生活上の立場としては享楽主義と結びつき,実際生活をも芸術化しようとする傾向を含む。文芸史上では 19世紀後半に,いわゆる「芸術至上主義」としてポー,ボードレールワイルドらによって自然を排し,芸術独自の空想世界の創造を目的とし,思想や感情よりも感覚を重んじ,道徳性を超脱して美の自律性を追究することなどが主張された。そこから悪を顕揚する悪魔主義に近づく傾向があった。日本では,明治末から大正にかけて,自然主義に対抗する形で登場した。『スバル』の北原白秋吉井勇などの歌人永井荷風谷崎潤一郎などの小説家がその代表である。

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百科事典マイペディアの解説

唯美主義【ゆいびしゅぎ】

審美主義,耽美(たんび)主義とも。美に最高の価値を置き,これを芸術の目的とする立場。感覚や技巧を重視し,奇抜,新鮮,デカダンスを求める傾向にある。芸術至上主義の一つ。

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆいびしゅぎ【唯美主義 aestheticism】

美をなによりも優先させる態度一般を指すが,狭義には1860年ころから始まった西欧の芸術思潮をいう。審美主義,耽美(たんび)主義とも呼ぶ。作品の価値はそこに盛られた思想あるいはメッセージではなく形態と色彩の美にある,と主張する。イギリスの詩人スウィンバーンがA.J.ムーアの絵《アザレア》(1868)を〈この絵の意味は美そのものだ。存在するということだけが,この絵の存在理由だ〉と絶賛した言葉が,唯美主義を端的に示している。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ゆいび‐しゅぎ【唯美主義】

〘名〙 一九世紀後半に盛んになった思潮の一つ。真実や道徳的善よりも美に最高の価値があるとし、美の追求を芸術や人生の唯一の目的とする芸術・生活上の態度。耽美主義(たんびしゅぎ)
※伝通院(1910)〈永井荷風〉「哥沢節を産んだ江戸衰亡期の唯美主義(ユヰビシュギ)は」

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