内科学 第10版 「DAX1異常症」の解説
DAX1異常症(副腎ステロイド合成異常症)
定義・概念
DAX1は胎児期の副腎発生に重要な役割を演じる核内転写因子である.DAX1異常症はこの蛋白質の欠損により副腎低形成となる疾患である.臨床的には,低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を合併することを特徴とする.
病因
DAX1を規定するDAX1遺伝子異常に起因するX連鎖劣性遺伝病である.したがって罹患患者は全員男性である.
臨床症状
【⇨表12-6-15】.
検査成績
低ナトリウム血症,高カリウム血症,低血糖,代謝性アシドーシスをきたす.血中ACTHおよびレニン高値にもかかわらず,コルチゾール,アルドステロン,DHEA-S,およびすべての副腎ステロイドホルモン中間代謝産物(図12-6-20)は低値である.
診断
上記の臨床症状,検査成績から疑い,画像検査で副腎低形成を確認し,遺伝子検査で確定する.
治療
内科的治療の基本はグルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド投与である.DAX1異常症の男性不妊に対する治療方法は確立していない.[長谷川奉延]
■文献
税所純敬,横田一郎,他:新生児マススクリーニングで発見された先天性副腎過形成症(21-水酸化酵素欠損症)の診断の手引き(1999年改訂).日児誌,103: 695-697, 1999.
柳瀬敏彦:厚生労働省「副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班」の研究概要紹介―疫学研究を中心に―.最新医学,67: 1981-1988, 2012.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報